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December 2007

December 31, 2007

年越しそば(本番)

2007_12_31soba

昨日まで店先にてんこ盛りだった年越しそば。。。
今日の夕方配偶者が買い物に行ったらほとんど無かったそうで・・・安っぽいそばになってしまいました。
ねぎも入れ忘れてるし。。。
この一週間仕事は滅茶苦茶でしたが他は楽しい異臭感でした、ちゃうねん、一週間でした。
ただ、夕方近く、小雨の中をJONの散歩に行ったら思ったよりも寒く
近くの爺ちゃん角打ちに寄って、熱燗を2合飲んだら、今、頭が痛いのヨ!一体何やったと?あの酒・・・。
瓶は松竹梅だったように思ったけど・・・売れ残りの古酒ブレンド??
頭が痛い。。。ちきしょう・・・(笑)。
ビールを飲むには寒かったしなぁ~。

こっちは頭痛のままやけど、みなさま、良いお年をお迎え下さい。。。

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December 27, 2007

年越しそば。

2007_12_27soba

ちょっと年末の買い物に行ったら、1万札がパラパラ消えて・・・
このままでは、年が越せません。
何とか家賃は払ったけど。。。
クリスマスケーキなどはどうでも良いのですが、年越しそばをどうするか。
思い切って近所の店から出前を取るかとも思いましたが計算すると高いし。
近所の手作り豆腐のお店から麺を買ってみましたが(試食ね)、なんちゃなかったし。
生協の年越しそばセットか・・・
そば屋のお持ち帰りセット買うか?
きつねどん兵衛はだめ!

画像はウエストのかき揚げそば、
年越しそばの持ち帰りは280円と書いてあった。
そばとスープだけだったけど。

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December 24, 2007

愛宕山。

 山遊びというものが東京にございません、これは京都に限るんだそうでございます、もっ
ともあちらは春は菜種刈り、秋は松茸狩りなどと、四季それぞれに山のお遊びの催しが
ございますようで……
「どうだ、あらかた見物したな」
「大将、きょうはどういう趣向ンなります」
「きょうは愛宕山に連れてこうと思う」
「愛宕山と申しますと?」
「あれをみなよ、あの山だ」
「ほほう、あれをのぼるんですか」
「貴様あやしいな」
「冗談いっちゃアいけません、あたくしだって江戸ッ子ですよ、あんな山の一つやニツつ朝飯まえだ」
「おい、一八、こないだから貴様に小言をいおうと思ってたんだがな、お前、朝飯まえッて
えのはいい言葉じゃアないぞ」
「さいでやすか」
「さいでやすかッて、貴様のぼってみろ、なかなかえらいぞ」
「そうですかね、大将、このぞろぞろぞろぞろいきますのはみんなこの山へのぼるんで」
「そうだよ」
「大将あちらで喧嘩してますね」
「酔っぱらッてんだよ、相手になるなよ」
「大将、あたくし酔ッぱらいで一首浮かみました」
「生意気なことをいうなよ」
「そうでござんせん、こういうのいかがです、早蕨の握りこぷしを振り上げて山の頬面春風
ぞ吹くてえなどうです?」
「うむなるほど、やるねお前、感心したね、早蕨め握りこぶしを振り上げて……」
「山の頬面」
「山の頬面春風ぞ吹くか、うむ、おもしろいなサワラ……おい一八、早蕨てえななんのこっ
たか知ってるか」
「ええ(と、扇で膝をIつたたき)つまりこのなんですな、早蕨てえことにつきましては、ず
ッとこのウ(と、左の人差し指をはねて、右に持った扇をすぐ左の手に持たせ、同時に左前のほう
へ伸ばし)早蕨てえことになってますんで」
「いえ、だからさ、早蕨てえのはどういう形のものだよ」
「どういう形のものだよッてッて、つまりこのなんですな、この早蕨と申しますと、ずっと
このまアるく(と手で示し)なってるやつがあるかと思うと三角ンなったやつがある、かと
思うてえとまた四角なやつがある」
「ばかなことをいうな、貴様盗んだな、その狂歌」
「いえあたくしの腹から……」
「ばかなことをいうなよ、早蕨というのはな、蕨の出はじめのことをいうんだ、握りこぶしを
(と、目の前に右手でみせ)こう握ったような形になってる、早蕨の握りこぶしを振り上げ
て、山の頬面春風ぞ吹く(と、軽く動かし)と掛け調になってるんだ」
「へええしてみるてえと、大将、あなたが作った?」
「なにょウいやがる、貴様がとんとんとんとんとやってみろ、感心てえんで一両の一枚もやるんだ」
「うむ、なるほど、こりゃア手焼きてえものはあるもんですね(改まって)旦那のまえでご
ざんすが、早蕨と申しまするとね、蕨の出はじまり……」
「おい、なにをいってるんだよ、いま俺がやったんじゃアないか」
「ですからさア、まるまる一両いただこうてえんじゃアないんですよ、そこんとこをせめて、
二分でも一分でも」
「おいけちなことをいうなよ。そりゃアそうと女どもはどうした?」
「大将、あんなとこで摘み草してますよ」
「おい、呼びなさい呼びなさい」
「皆さアアん、早くいらっしゃいよウウ、……大将かけ出してきましたよ、繁さん、なにし
ているんだい?」
「(息を切って)いえ、皆さんに摘み草あとになさいてえのを動かないんですよ、みんな強情で」
「(女の声)旦さん、えらいすんまへん」
「繁八、みんなそろったか(一八に)貴様ひとりは馴れないんだからな、繁、よくみてやれよ」
「へいかしこまりました」
「一八、あとからこいよ」
「へい、どうぞおさきイ、手前いちばんあとからうかがいます。あとのほうが気がねがなく
ってよござんす、へい、姐さん方もどうぞ、へい、へいどうぞ、あたくしは、いちばんあと
からうかがうということに……(といいながら、目をやや上へ、首を二つひねって)ははアうま
いもんだね、女でこれだよ、馴れだね、どうだい赤いものをちらちらみせながら、とんとん
とんとん、恐れ入ったな(ちiっと振り返って)おい繁さん、さきイおのぽりよ」
「まア兄いさんおさきへ(と右手を上へ向けて一つあおる)」
「いいよ、さきへおのぽりよ」
「ええどうぞご遠慮なく」
「それがお前強情てえんだよ、芸人は強情じゃ売り出せませんよ。さきへのぽったらどうだい」
「あなたはどうするんです?」
「俺は帰るよ」
「(ロヘちょっと、手をやって)うふッ(と笑い)旦那知ってますよ、あいつはのぼれないで逃
げるから、貴様ついてろてえン、あたくしはあなたのお目付けだ」
「なにょウいってやがんだ(と、歩き出す。右手、扇であおぎながら、からだを左右交互にゆす
る、左手は軽く膝へ、以下おなじ)俺がのぽれねえと思ってやがんな、こんな山の一つやニッつゥ、
九段の坂の毛の生えたようなもんじゃアねえか。こっちア山に馴れてんだぞ、
唄アうたって上がってやら(軽く節をつけ)お前を、待ち待ちッ(と、しだいに息がはずんでくる)
蚊帳の外とくら、蚊にくわれッ、ああこりゃアこりゃア、七つの、鐘の、鳴るまでもッ、ううん
(と一つうなり)七つの、鐘の、鳴る、ウ、までも、こちゃえ、こちゃえ、とくら(からだ
は動かしているが、ちょっと間、――左手で額の汗をなでる、おなじように軽く節で)お前は(と、
吐く息)浜のッ(と、おなじく)お奉行様ッ(左手で襟もとをあけ、扇を頭の上のほうからあおい
で風を入れる)汐風にッ(左手で左の頬を上から下へ、つづいて左の甲で右の目からまッすぐ鼻筋
へおろす)吹かれて、お色がッ(と、今度は左手であごを上からのどへ、すぐ、その甲で右の頬
を上から下へなでながら)まッ黒け、白うても(息切れはげしく、右でつかっている扇の動きが
しだいにゆるくなる)黒うてもッ、かまア、やア、せぬ、こちゃえ(が、溜息のごとく)こち
ゃえ……おま、よウ、うう(と、ひと足ひと足の動きが、しだいに間のびになってくる。目をつ
ぶったり、あけたり――汗と苦しさ)うう、うう、うう」
「ぷッ(と、吹き出して)どうしましたい、唄は?」
「黙ってろい。(と右手で右の袂をうしろへ払い)こんな、山の、一つや、ニッつウ、うう、
繁さん、まださきがあんのかい?」
「さきがあんのかいッて、まだとばくちだよ」
「(立ちどまり)そりゃ駄目だい、旦那にそういってくんな、一八は、さきへ帰りましたからって」
「そりゃアいけないよ、あたしがしくじッちまうよ、きっとそんなこッたろうと思ったんだ。
さッ、じゃアこうしなさい、あたしがこうやってるから(顔の高さに指をひろげた両手をまえ
に構えて)これへお尻をのせなさい、あたしが持ちゃげてあげるからあんたも楽だし、あた
しも早く上がれる、さッ、おのせなさい、よッよッ、よッ(と、力む。どすんとおろすので一
度手を下げて、まえヘ一つ押し)そんな図々しいことをしちゃいけません、腰掛けちゃいけま
せんよ、軽く、軽く軽く、さッいらツしゃい、そうら、うまいッ(と、左右の手を交互にまえ
へ押しながら、拍子を取りつつ)うまいッ、うまいッ、うまいッ、ひイ、ふウ、みイ、よウ、
いつ、むウ、なな、やア、この、とオッ……」
「(両手を軽く膝へ、からだをその拍子にのせて、ちょっと左右に動かしながら)なアるほど、う
まいもんだね、恐れ入ったね、馴れたもんにさからッちゃいけませんよ、ありがとうッ、お
かげさまで助かりました、これならあたしゃいくらでものぽれるよ、すみません(間)痛い
ッ(と立ちどまる、右の袂を強く払い)灸の膏薬はがれちゃッたよ」
「灸の膏薬はがれちゃッたッたって、どこに灸が据えてあるか着物のうえからわからないじ
ゃアありませんか」
「痛いよ」
 だからさわりゃアしないッてぱ」
「(右手をちょっと高座へ突き、やや顔を下へ向けて)ああ、あんなところで喧嘩をしてやがる、
おおいおおい、なにをしてんだア、早く上がってこオいッ」
「(再び右で扇をつかい、左手を軽く乳の下あたりへ、掌を右向きに曲げた形で上がってきて、左で
ちょっと汗をぬぐって目をつぶり)どうもね、大将のまえですけども、てっぺんまでずいぶん
ありますな」
「ばか、てっぺんてやつがあるか、試みの坂てえんだ」
「へええ、こころみの? これが?」
「てっぺんまでまだこの三倍もあるんだ」
「へえッ、三倍も?」
「どうだ、朝飯まえか?」
「いえお昼すぎです」
「なアにをいってやがるソ」
「(と、つうッと、左から右へ大きく視線を廻して、もう一度ゆっくり逆にもどし)どうです、こ
の景色、いい景色ですね、大将ね、いままで疲れてたでしょ? この景色をみたんでね、す
うッと(と、両手を前にして大きく左右へひろげ)なんにも(と胸を上からなでおろして)なく
なッちゃいました。あの流れなんです? あの流れ(と右を指し)ははア加茂川ですか(指
したのを、ちょっと動かして)下加茂に上加茂てんでしょ? 大将、この(と、ちょっと脇をみ
て)うねった流れがありますね、あれはなんてんですウ? (と、少しでもごまかして、そこ
に立ちどまっていることを永びかそうとする算段である)」
「あれは桂川」
「ははアそうですか、そういえばね、あの、こう、うねったところが、か、つ、ら(と、右
の人差し指で、ちょっと字を書きながら)という字に思えますね、あ、あの塔は? (と指す)
ああ清水さんですか、はアこういう見当になりますかな(ひょいと今度は正面を切って、ちょ
っと下をみ)旦那、あんなとこに的がありますよ、大弓でもあるんですか」
「両国じゃあるまいし、大弓じゃアない、土器(かわらけ)投げだよ」
「土器投げと申しますと?」
「こりゃアお前はわからない、いま俺がみせてやる、茶店のお婆アさん(と声をかけ)土器
十枚ばかりください(と、左手を出し)はい(と受けたのを胸のあたりへ)この土器をな、あ
の的へ当てるんだ、みてろよ(左の手を上にしているのだが、土器を重ねた高さをむろん勘定に
入れて、さて右の人差し指と親指だけをひろげて土器の両方のふちをつかみ、すぐ口へ持ってきて、
その端をかみ、ぷッと、顔を左へ向けながらほき出すと、ぴたり正面をみる。右手を口のまえあた
りで構え、ごくちいさく前後にはずみをつけてやヅつ、とほうる、――間、視線空を切って正面下
へ流れ飛ぶ土器を追い、いまほうった人差し指をまえに伸ばして、土器の流れにそってそれを指し
ながら)そらッ(と、みごと、的に当った表情、と、またすぐ土器の端をかんで)ぷッ(と、おな
じょうにほき出し)やッ(と、ほうる)そらッ(と指で追って)どうだ、うまいだろうッ」
「(ぽんと一つ手をたたいて)恐れ入りましたな、うまいもんですね」
「こんだ女夫(みようと)投げてえのをみせてやる(と二枚のこころで)ぷうッ(と、強くほき出すと)そ
らッ(上体がびいんとなって、左右へ流れ飛ぶのをこまかくみくらべながら)すうウッ……
(と、両手の人差し指を伸ばしたのを左右にゆるく弧を描いてみせながら)と、……どうだ!」
「へええッ、恐れ入りましたな」
「どうだ、貴様できるか」
「ええッ、こんなことは朝飯まえ……」
「またはじめやがったな、できるか、じゃア」
「できますとも、五枚ばかりいただきやしょ? (左手を出し)当りやアいいんでしょ? あ
たしゃこういうことが好きでね、あたしゃね、あなたとまたね、いき方が違うン、あたくし
やまたうまいんだ(やや左斜めに構えて、ねらった方向に、左手とからだ全体を、前後に拍子をつ
けて動かしながら)あたしゃからだからこう持ってきますよ、みてらっしゃい、いよッ(とほ
うる)とオオオ……ッ(息をつめたのを抜いて)と、この右へ(と、指しながら目を右へ移して
いき)いきましょ?」
「なんだ、当らねえじゃアねえか」
「そりゃアあなた最初から当りませんよ、第二番手をごらんなさい(首を一つひねり、ひとり
言で、ぶつぶついう感じに)そんなことアねえんだがな、おんなしにやってるんだがな、そん
なわけアねえんだがな、(力を入れて)いよッ……と、右へ(同前)」
「(力を抜いて)なんだい」
「大将、このあたくしがやると右へいくてえのはどういうわけのもんです?」
「お前端を欠かないからだ」
「ははア、あそうですか、あ風を切って? あなた人が悪いね、そんならそうとおっしゃっ
てくださりゃアなにもあたくしが端くらい欠けないこたアないんだから(と、かんで、いや
な顔)うん(とつまり)ぷッ、ぶッ、ぷッ(とほき出し)大将ッ、土器てえものはまずいもん
ですね、よッ(と、ほうり)よウ……ッ、と、山越し」
「なんだい、まるッきり当らないじゃないか」
「むずかしいもんですね」
「こんなことでも馴れないことではな、ときどきこの土器投げの大寄せがあるんだ、そのな
かのひとりで塩せんべをあそこへ投げる人があるてえんだが、あんな軽いものがどうして当
るかと思ってなア」
「塩せんべね? へえ、けどなんですな、大将、もっとこの重いもんをほうるてえなアおも
しろいじゃアがァせんか」
「重いもん?」
「へえ小判かなんかをこう、やアッと」
「みたいか」
「みたいね、あたしゃ」
「よしッ、じつア重いもんと思ってな、きょうは貴様に俺はひとつみせようと思ってちょい
と趣向があるんだ(と、右手を袖口から懐中へ入れる、ちょっと重みで左肩を落し、出して、両手
でずッしりした感じに受ける)これだよ」
「大将、。なんですそりゃア?」
「小判だよ、お前なんかめったにみられない小判だ」
「小判? なん枚あるン? (驚愕、強く)三十枚? ほんもんですか、それをあなたがあの
的へ投げんの?」
「そうだ」
「(強く)およしなさいよ、あなた、ぱかぱかしいよあなた、もったいない、むだな話じゃ
ありませんか」
「むだといったらお前たちとこんなことをしてるのがそもそもむだじゃアねえか、遊びとい
うものはな、自分が心持ちよく遊べばいいんだ、俺はきょうこれをやりにきたんだ、どうい
うふうにいくかな。(今度は土器と違って端ではなく、人差し指と親指で小判の裏表をちょっと持
った形で)まアみてろよ、……よッ(ほうる、間)ああッまずいッ(と、左手の小判をのせてい
るほうの手を、胸のあたりでちょつとゆすつて)まるッきり呼吸が違うな、いよッ(間)ああい
けねえ(左膝を、乗り出す、左の手は左膝へ軽く置き、右手は石投げの形に振りかぷつて)よッ
(とほうると、右手は左の挟へおりる)ああッいけねえ(ほうる、短い間)いけねえ(おなじく)
いけねえ(とつづけざまに)そらッ、そらツ、そらツ、そらヅ、そらツ」
「(左を向いて袂をひかえる形で)大将、およしなさいよ、およしなさいよあなたッ、もつた
いないッ」
「(中腰、右を振り向いてきわめて静かに、ゆつくりと大きく、上下で三度手のちりを払い、三度目
の払つた右手をその動きに乗せてそのままの形でまえへゆつくり出してみせ)三十枚、みんな投
げちゃつた」
「(こくんと腰を落し)投げちゃつたッて、どうなるン?」
「どうなるンたつて、俺が三十枚投げちゃつた」
「そら投げたのはわかつてますがね、だれか拾うでしょ?」
「そりゃア拾つた人のもんじゃアないか」
「(右の人差し指で自分を指して、強く)かりにあたくしが拾いましたら?」
「貴様のもんだ」
「あたくしのもの? しめたッ(手をたたき、顔のまえでその手を合わせた形のままで)
し、し……(といいながら、ゆるく左から右を見廻して)こりゃアいけないな、茶店のお婆アさん、
この谷の深さてえのはどのくらいあるの? えッ? 八十尋(と両手を左右へひろげ)
これ八十……?(とまた下をみて)あのね向うの裏山から廻つたらどのくらいあります? 四里と
二十八丁? 四里と二十八丁(と、ほうぼうをきょろきょろ見廻していて)お婆アさん、この
傘一本貸してくれ、しみッたれなことをおいいでないよ、傘の一本や二本なんだい、あとで
百本でも二百本でもにして返してやるよ(左手をさきにして、左はすッかいに、両手で傘を持つ
たこころで)こッちゃア江戸ッ子だ、日暮茶屋へ返す? よし心得た、この、傘をひとつ俺
がひろげて(つうッとひろげる)」
「貴様傘ひろげてどうする?」
「(左の肩へかつぎ)あたくしやこの谷へ飛びおりようてえんです」
「(笑う)貴様そんなことできるか」
「できなくつてあなた、なんでも人間てえものは一心になればなんだつてできねえッてこた
アねえんだから、金儲けてえことについちゃア、いくらかそこに苦労てえものはあるもんだよ、
ひイの、ふウの、みイッ(と、中腰、まえへ進もうとしてうッとつまり、腰を落し)こりゃ
アいけねえ、こりゃア目をあいてるからいけねえン、目をつぶつて(と、つぶり)ひイ、ふウ、
みイッ(と、あき)こりゃア目をあくね、こりゃア人情だから目をあきますよこりゃア、
うしろのほうから目をつぶってかけ出していこう(ちょつとあとへ下がるこころ持ち、中腰で
どたどたという感じに、交互に膝を動かし)いよウッ(ととまる)……と」
「おい繁、繁」
「へいッ」
「(ちいさい声で)一八の背中突いてやれよ」
「そんなことして大将大丈夫ですか」
「大丈夫だよ、傘持ってるじゃないか、死ぬ気づかいないよ、洒落にやってみろよ」
「じゃア大将やりますよ」
一八が傘を持って(と、左の肩へかついでいる形をみせ)ううんとうなってるとこを、どお
ん(と、両手を顔のあたりでまえへたたきながら)と突いた。風を切って(左の肩あたりから、
両手を合わせたのを右のほうへ移しながら)すうッと(と中腰になる)
「えらいもんだねえ(下をみながら)おりる、おりる、おりる、おりる……すごいなア(顔
はそのままで)おい、みんな見てるかッ?」
「見てるかッて大将、あたしが突き飛ばしたんだ、受け合うかい? 大将ッ、当人のから
だ?」
「(そのままで、目で追いながら)わからねえんだよ、やッちゃッたもんはしようがねえじゃ
アねえか、そばでうるせえな、お前は、黙ってろよ、それがお前は男らしくないてえン、黙
って、黙って黙って……、いいよウッと(両手をまえへひろげて、びたりととめ)おりたッー
(はじめて振り向き)おいッやつおりたよ、よかったな、おりたよ、みんな呼んでやれ、みん
な呼んでやれ、一八いイッ」
「(女の声で) 一八お師匠はアン……」
「(おなじく) 一八兄いさあアン……」
「一八いイツ……」
「(両眼を閉じ、左耳のあたりで、左手を上に傘の柄につかまった形で)へえエ……いッ」
「(右手を口の端へ当てがい)怪我アないかア……ッ?」
「ヘッ、怪我?(と目をあき)あッ俺アおりたんだな(驚喜、傘を置くと、両手のこぷしを胸か
ら前へ二度力強く突ッぱッてみて)ああありがてえありがてえ(と合掌、上を向いて)怪我アあ
りませんようッ」
「(口へ手をして)金はあるかア……ッ」
「ヘッ(と、反射的に左手を口へ)金ッ? あッそうだ(きょろきょろと見廻し、両手を高座へ
突き)こッちゃ金でおりたんだからな(上へ)待っててくださいよウ(と、息を切らしながら、
鼻唄で軽く節をつけて)かねがね、気兼ねに(とほうぽう見廻しつつ)暁えのうッと(右をみて
左手で向うへ払って、一つ小判を持ち、上へ)ありましたッー (と、それを左手の上へのせ、今
度は左をみて)おッあったッ(と、拾い、左右交互に四枚ばかり拾う動き。-この間無言であ
る)……人間てえものはどこにどういう運が向いてくるかわからないもんだね(といいなが
らも拾う)人間てえものは冥利てえことを知らないじゃアいけませんよ(と、たえず目をくば
りながら)これだけの小判がありゃアあたしゃ幇間をやめて粋な料亭を開きます、運が向い
てきたね、とうとうあたしも。これだれかに拾われちゃうんだからね、もったいない
(と、左手にのせた金を、右手でかこって、ゆすりながら)ふうッ、ふッ、ふッ(と三度吹いて泥を払
い)ひイふウみイよウいつ(と数え)ええ、ええ(と見廻し)おッ、あった(と、右)ありま
したよ(と左、あらためて再び左手を大事そうに少しゆすり上げながら)ふッふッふツ(と吹き)
ひイふウみイよウいつむウ……、二枚足らないな(と右の人差し指と中指を伸ばし)に、ま、
い(と、また節をつけていいながら、ふと右を見上げて)アッ、……よッ(と、右手でちょっと木
を押す形で、すぐ下をみて二ヵ所で拾い)ふッ、ふッふッ(と吹き)ひイふウみイよウいつむウ
……、よしツ三十枚(と右の人差し指と中指で、左手の端を一つ音を立ててたたく。右手を口へ、上へ)
みなさアんありましたよウッ」
「(下へ)みんなお前にやるぞうッ」
「(上へ)ありがとう存じますウ」
「(間髪をいれず)どうして上がるウ……?」
「どツ、あツ(と、右膝を思わずぴしゃり)こりゃアえらいことンなったなア(思わず右から
左を見廻す)」
「慾ぱりイッ、狼にくわれて死んでしまええッ、みんなさきへいくぞオッ」
「(正面、上へ向って両手をひろげ)ちょっと待ってください(ちいさく、しかし真剣に)そん
な薄情な話がありますかアッ(両手を口へ)国もとを出るときいっしょに出てきたんですよ
ウッ、じきですから待っててくださアい、みなさんもねえ、大将とめていてくださいよウ、
じきですからア、……」りゃア困ったな(と、両方のこぶしを胸のまえでゆすって)ううむ
(とうなる)」
 一八うなっておりましたが、なにを思ったかくるくッとすッぱだかンなりました。芸人
でございます、安物ではございますが絹物を着ております。羽織、きもの、帯(と、左手で
折ってみせ)ぴいツ、ぴいツ、ぴいツ(と、左手を帯のあたりへ、右手をそこからまえへ出しな
がら)と裂きはじめた。
「おい一八をみろよ、やつ、気ちがいになツちまやがった、きものを裂いてやがら、おツ?
縄なってやがら(右手を口へ)えらいところで内職がはじまりましたなア」
「(左膝の上あたりで左手を上に向けて三度向うへない、それを右膝の下へかって、さらにないなが
ら)内職なんかはしたくはないけども、狼が出るてえなア洒落になりませんよ(右膝へかい)
また狼出ますよ、驚いたなこりゃア、人間てもなア慾ぱッちゃいけないね(上へ)待ってて
くださいよウ、じきでござんすから……(鼻唄みたいに軽く節をつけて)じきでございますか
ら、待ってて、ください、ましよ(とつぶやくようにいうが、しかし目と動作は真剣そのもので
ある)ええッ、ええ、お待ちくださいましよ、待っててくださいましよッ(と、なった紐を持
ったこころで、両手を左右にひろげる)」
 長い紐を一本こしらえまして、手ごろの石をさきへ結びつけました。あちらこちらと見廻
しておりましたが、ご案内でもございましょうが嵯峨竹と申しまして、中で太い長い竹がす
うッと出ております。これへ見当がついたか、ぴいッと(右手で投げる形)投げたやつがさ
きへこつんと当ったかと思うと(早口で)くるくるッ……
 「(右手こぷしで、空間を上から高座へたぐりおろし)しめたツ(左こぶしをおなじく)こうくり
ゃア、こッちのもんだ(と、右、左を、交互に)よいしょ、はッ、待ってて、ください、まし、
よッ、よいしょ、うん、よッ、うん(と、しだいに竹の張り工合が強くなっていくのが、かけ声
と、おなじ動きのなかに)よッ、うむ、うむ、……ううむ、(と、右手に渾身の力を籠めておろ
し、右肘を高座へべたりと突く)」
 竹が満月のようになりました(と右で弧を描き)前の岩に拍子をつけてぽおん(と右手でた
たく形)蹴ったかと思うと(中腰、右人差し指をで左のまえ下から出して)つッ(と、一瞬空間
でとめ)つッ、つッ、つつっつつつ(としだいに早く)ひらりッ(と、しだいに上へあげてきた
右手を肩と平行して右へ伸ばし、顔はやや左を向き)
「旦那、ただいまッ(と中腰を落す)」
「よッ(と手を打ち)上がってきやがった(と右で指す)えらいやつだな、恐れ入ったな、
一八、貴様生涯晶肩にしてやるぞッ」
「ありがとう存じます」
「金は?」

「…………、忘れてきた」


八代目 桂文楽 明治25年産まれの落語。

土曜の練習の時にRさんが「パソコンの自動読み上げを使うとね・・・」
とおっしゃったのを聞いてなるほど!と手をたたく!
なんと上手いことを考えるのか・・・あっしゃぁ~気が付かなかった。
で、自分でもやってみるてぇと・・・つまらん文章だねぇ~~・・・これ(笑)。

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December 23, 2007

クリスマスケーキ。

2007_12_23donguri

あまり大きな声では云えませんが、こちらの老舗の
菓子舗のクリスマスケーキですが・・・
去年は苺の質が落とされました。
一昨年までは「あまおう」「とよのか」がたくさん使われていましたが
去年はブランド苺は少数で多くは使われたのは熊本産、福岡産の
ただの苺でした。
仕入れ値がどくらい違うのかは知りませんけど。
生クリームの中に入れられたら、あまり判らないのかも知れません。
うっかりと予約を入れてしまったあなた・・・
その苺は安物かも・・・・(笑)。

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December 21, 2007

新宮のアジ。

2007_12_21azi

会社の人が朝釣れたアジをくれたのですが大きな型のアジは
そろそろ終わりになるそうです。
最近は小アジばかり釣れるそうな。
でも釣れたてはなかなか美味しいです。
カゴ釣りらしいのですが、私はあのオキアミのにおいが手に付くのがイヤ。
ゴカイとか青虫とかあまり触りたくない。
日の出前は結構寒いです・・・。
日が登ると途端に釣れなくなるらしい・・・ご苦労様。

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December 20, 2007

酢豆腐(江戸では「ちりとてちん」)。

「さ、起きなくッちゃいけませんよみんな。しょうがねえなおい虎ちゃん、しようがねえな
まったく、……蚊帳(かや)ア振るっとくれよ、昨夜(ゆんべ)アみんな出たり入ったりするんで
寝られたもんじゃアねえや、おい、虎ちゃん、起きなくっちゃアいけませんよ」
「ええなん時ンなります?」                 
「午砲(ドン)を打ったよ、いま」
「あたしゃね、午砲を打つてえと寝てられない性分なんだ」
「おい、ふざけちゃいけないよ。さ、いいかい、けさアね、すっかりこう掃除オして、表イ
水なんかこう打って、暑気払いに一杯やろうッてえ趣向なんだ、みんないいかい? そのつ
もりでな。……あの竹さん、酒屋のほう、顔きくんだろ? いつもの家イいってね、酒のほ
うひとつ頼むぜ・……金ちゃん、なんだよ、お前その火鉢のそばイ坐ったのは因果だよ、鉄
瓶の底オちょっと気を使っといておくれよ、突っ込んでっから十分もたたなけりやアつかね
えなんてえなア飲んでもうまかねえからな。ところでと……肴だがね、肴はお互いにみんな
秋の暮ときてますから、あんまり高いものはいけませんよ。そうかってってひとりがくって
ひとりがくわねえなんてえなア喧嘩ンなるからね、腹にたまらない衛生にいいてえものをく
いたいね、なんかねえかな」
「どうだい? この物干イ上がって風でも食うてえなア」
「なぐるよふざけると……、なんかねえかな」
「(片づけた声で)あります」
「へんな調子だな、なんだいそのありますてえなア」
「まず、あたしの考えじゃア刺身だね」
「(はなはだ不審を抱いた調子で)ふうん?」
「あッたかいときによくって寒いときによくって、酒によくって飯にいいてえ、中脂(ちゅうあぶ)の
ところオ山葵(わさび)オきかしてくったしにやアたまらねえや」
「なにょウいってやがんでえ、そりゃア銭のある人間のいいぐさだよ」
「そりゃアわたしは銭はない(せッ込んで)銭はないけど(ゆっくり再び片づけた調子で)刺身はくう」
「よせよ」
「どうだ、俺が考えた。腹イたまんなくって衛生にいいてえやつオ考えた」
「ふうん?」
「まず、二百がとこ散財してもらおうじゃアねえか」
「二銭でいいのか」
「そうよ、そいでだ、まずあッしの考えじゃア爪楊子オ買うん」
「ほう?」
「これをこう(と、右手を口もとへ)めいめいに一本ずつロイくわえる、一杯やってるだろ
う? 腹イたまんなくって衛生にいい」
「歯糞オ掃除しながら酒が飲めるかいッ」
「歯の掃除がいき届いて衛生にいい」
「なぐるよふざけると……なんかねえかなア?」
「(大きな声で)うるせえな、なんかねえかななんかねえかなアって」
「うるせえよ。おめえのほうがよっぽど。俺が考えたよ、台所イいってみねえ、板アどけて
みなよ、糠味噌の桶があるだろ、あれをこう、底のほうをずうッとひとつ掻き廻してみねえ、
思わねえこの古漬てえやつがあるもんだ。こいつをこまかく刻んで、すぐじゃア臭くッてい
けねえや、いったん水イ泳がしといて、ショウガぁ混ぜて、堅くしぽってかくやのこうこてえな
アどうでえ?」                `
「よッ(軽く手を打つ)えらいッ、糠味噌の古漬てえとこイ気がつかなかったな、恐れ入っ
た、ひとつ糠味噌の古漬出してもらおう」
「よせよ、俺が考えたんじゃアねえか」
「いいじゃアねえか、いい出しべえじゃアねえか……」
「いい出しべえてえなアねえや、御免こうむら」
「金ちゃん、糠味噌出すかい?」
「(さっきの、片づけた調子で、あっさり)ええことわります」
「早いねこりゃア。……源ちゃん、糠味噌出すかい?」
「ええ、いま留守です」
「なんだへんなことわりようだな、なんだ留守てえなア。……竹坊、お前、糠味噌出すかい?」
「出してもようがすが親の遺言だから……」
「なんだいその遺言てえなア?」
「(しみじみと)おふくろがそういった、お前はなにをしてもいいけれども、生涯のうちに糠
味噌の古漬ばかりは出してくれるな」
「嘘オつけえッ(高く)辰つアんお前糠味噌出すかい?」
「なにいってやんでえ、さっきから聞いてりゃア他人に用ばかりいいつけてやがら、てめえ
は号令方か、てえそうなもんだな。てめえはなにか(すごんで)俺に(左手で右腕をまくッて)
糠味噌のこうこオ出させようてえのか(口をとがらせて)てめえは俺に糠味…:」
「こわいねこの人は、くいつきそうだね、お前、糠味噌嫌えか」
「でえ好きだ」
「好きなら出したっていいじゃアねえか」
「冗談いうねえ、くっちゃアうめえかしれねえけど、あのくれえどじで野暮に出来てるもな
アねえや。樽ン中イ手え突っ込んでみろい、いつまでも爪の間イ糠のはさまってるなんざア
いい若え者のする仕事じゃアねえや(ちょっと扇を右手で口へ当て、急に二枚目の声で)ご免こ
うむりやしヨ」
「長いねいうことが:…、いやならいやでいいやい。おう、てめえいまいい若え者だってい
やアがったな、てめえなんざア歳が若けりやア、いい若え者だと思ってんだろう。いい若え
者てえなアな、ふだん襟垢のつかねえ着物オ着て、目先がきいていうことに無駄アなくって
よ、銭のきれいな者のことオいい若え者てえんだ。てめえのその服装オみろい、四季にかま
わずその着物オを着てやがんだろ、袷になったり綿入れンなったり、ひとえもんなったりし
てやがんだろ、でえいち、てめえのその帯オみろよ、てめえ職人だろ? 職人なら職人らし
く巾の狭い粋な帯オ締めろい、こいつアまたぱかな巾の広い帯オ締めやがったね、祖母アさ
んの形見みてよな帯オ締めてやがる。でえいち、てめえ銭オきれいにしろ、これまでに他人と
ものオくいにいって割前を出したことがあるかい、早え話が蕎麦アくいにいったってそう
だ、こっちやアとっくに食っちゃってんのにぐずぐずぐずぐずくってやがる、こっちやアつ
なぎきれねえから、ねえさん勘定はいくらだい(突如、力を入れて)勘定がすんだなと思う
と、てめえのくい方の早えこと、……てめえ勘定のすむまでつないでやがったな」
「(右手をあごへ、笑いながら)あ、さとられたかな」
「さあ、ぐうとでもいってみろ」
「(長アく延ばし)ぐうウ……ッ」
「よせよ」
「まアいいじゃアねえか、仲のいい友だちがお互いに赤目合ったってしようがねえや、まア
いいよ俺がなんだ……(と、ひょいと表をみて、声を低め)お、おい、おいッおいッ、あたし
がね、皆さんの顔を立てます。いちぱんいい話が、いまここイ糠味噌のこうこが出りゃアい
いんでしョ? いまここイ糠味噌のこうこが、いまふわふわッて出てくるから……、そのか
おり糠一人舞台だよ。相手ンなっちゃいけないよ(表へ、大きな声で)半公オッ、素通りは
ねえやい、寄ってきなよ」
「おッ、みんな集ってんな」
「みんないまいっぺえやろうッてえ趣向なんだ、素通りやアねえじゃアねえか、一杯やって
きねえな」
「俺も寄りてえんだけども、ちょいとこう野暮用で急ぎますから……(妙に片づけた調子で)
またのご縁と願いやしょう」
「そうかア、無理アねえやな、無理に留めてもいけねえや、じゃアいっといで……おう半公
(上から下まで見おろして、軽く)てめえいつも様子がいいぞこん畜生ッ、近所の女の子オあ
んまり迷わせんな、横丁の小間物屋の美い坊、ーばかな惚れ方アしてるねえ、なんとかい
い挨拶ウしてやれえ。死んじまうぞオ、色男ッ女殺しッ、色魔ッ(ひとッ調子語尾を上げて)
いっといで」
「(む、といった短い間があって、すぐ笑い顔になり、ちょっと乗り出すと、)なにかい? 
美い坊なんかいったかい?」
「やなやつだねこいつア、女のことってえと寄ってきやがら。……この間こういう乙な話が
あるんだ、二、三日まえにむしむし暑ッ苦しい晩があったろう」
「うん」
「横丁の菓子屋の縁台へ寄り合ったのが美い坊だ、世間話が出たんだよ、お前の話が出たん
だ、人情てえなア妙なもんだね、お前のことオ美い坊がいやに褒めるじゃアねえか」
「ふん」
「俺たちアそばで聞いててあんまりいい気持はしなかろう?」
「そりゃアそうだ、……、もっともです」
「畜生、片づけてやがらこいつ………さては美い坊、お前半公に岡惚れをしているなッと、
俺が二本、ぽオンと釘オさしたと思いねえ。まッかな顔でもするかと思うと、すましたもん
だ、熊ちゃん、なにかえ? あたしが半ちゃんに岡惚れをしたらお前どうする気なのと(右
手のひじを使って)どオんと一本くらッちゃッた」
「(とたんに真剣そのものの顔で)ううん(と、これは返事なのだが、そういいながらうしろへそりッ返る)」
「(ので)おいッ(と両手をひろげ)おい危いよ、ひッくり返るよ」
「(今度は右手で袖を払い)ひッくり返りゃしねえや。どうも兄哥(あにい)の前だが話アおもしろくな
ってきたね、うん……」
「美い坊おめえだッてずいぶん茶人じゃアねえか、この町内にやア乙な男もふんだんにいる
ぜ、よりによッてあんな半公みてえな、しみッたれで、薄ぱかな、ねえ、すッ頓狂な自惚れ
野郎に惚れたんだと、……お前にやアすまないけれどもこういったもんなんだ」
「ふむふむ」
「すると(カを入れて)美い坊のいわくだよ。熊ちゃん、女なんて者はお金があったり男前
のいいのに惚れるんじゃアない、あたしゃ半ちゃんの男らしいところへ惚れたんだとこうい
うんだ。お前のまえだが話がへんだろ? へええ? そんなに半公が男らしいかい? 
(美い坊で)どこの牛の骨だか馬の骨だかわからない者にでも、さて、これこれこういうわけだ
がと頼まれりゃア、いやといってことわったことのない男らしいところに惚れたんだ、とこ
ういうんだ、どうだい?」
「(じいッと深い感動のなかにいて、右手を左二の腕へ持っていき、だからおのずと左のこぷしは軽
く外側へ向いてちょっとそる形になるのだが、と、その形のまま一つあごをしゃくッて)するとな
んだな、俺の料簡が、近ごろようやく近所の女の子にわかってきたかな」
「(だれとつかず)おウおウ……」
「(なおもそのままの形で)俺ア江戸ッ子だ、他人に頼まれてあてえ引くんじゃアねえや、頼
まれりゃアこちとらア、火ン中へでも飛び込む人間だ(感動その極に達して)畜生め、ほん
とうに、ううむ」
「(これまただれとつかずに)うなったな」
「その偉いところで、ひとつみんなで頼みがあるんだが、なんと聞いちゃアくれめえか」
「なんでも持ってこい、しけをとるんじゃアねえや(と、なおそのままの形である)またなん
だろう? 芝居の組見かなんかしようてんだろう、花会でもしようてえのか」
「そんなこっちゃねえんだよ(きわめてあっさり)いまここで糠味噌のこうこオを出しても
らおうてえんだ」
「(う、という間、すぐ)糠……、糠…:(間、ちょっと頭を下げて)さようならッ」
「おいおい半ちゃん、いまおめえ火ン中へでも飛び込むッたじゃねえか」
「(がらり変って)いえね、その……、火ン中でも飛び込むてえがね、糠味噌のこうこたア気
がつかねえや。話がうますぎたよ、勘弁してくんねえ」
「いけねえいけねえ、出せよ」
「じゃア、じゃアこうしてくんねえ、俺もかかり合ったなア因果だ、じゃアこうしよう
(ちょっと力を入れて)糠味噌のこうこを買う銭を出して別れようじゃアねえか」
「よッ偉いッ、話アわかってらア、江戸ッ子だ、いくら出すい?」
「いくら出すったってお前、こうこを買うんじゃアねえか、高いことはいけませんよ」
「だからいくら出すんだよ」
「じゃア(と、ひどく卑屈に、右の中指と人差し指をきわめて不明瞭にちょっと曲げながら、おず
おずと、出し)このくらいのことに願いまして……」
「こん畜生、指オ二本出しやアがったね、二両か、二十両か」
「(愕然として両手で制し)おッ、おいおい、おだやかでないね、こうこ買うんじゃアねえか、
貫だよ(と、二本はッきり指を立ててみせる)」
「二貫だ? こん畜生、暑ッ苦しい惚気(のろき)ョオいやアがって二貫てえなアねえやい」
「怒ったっていけないよ、じゃア(と、今度は親指と人差し指を輪にして、残りの三本を立てて
手を前に)運び合ってこういうことに願いまして……」
「縁日で植木オ買ってるんじゃアねえやい、ちびちび上げんないッ」
「そ、そんなに怒ったっていけないよ、じゃア、じゃアこういうことに願いまして、
(ぱッと五本指をひろげて前へ、-その手つきがまアまアといったふうに相手を制する形にもなる)」
「二分か(みんなを見廻して)おウ、半公が二分で示談にしてくれてえんだ、口開けだから
願っちゃうかい? じゃア(と、片づけて)願っときやしョ」
「おい、商いをしてるんじゃアねえやい」
「なにょウやがんでえ、早く出せえ」
「(両手を懐へもじもじと)出すよ、出しますよ。……どうもへんだと思ったよ、向うの横丁
オ曲りやアよかったン、はずみてえな、妙なもんだね、ふらふらッとここイ入ッちきちゃっ
たン、どういうかげんのもんだかなア、そういや、今年の初夢がよくなかったからね」
「ぐずぐずいうない、早く出せよ(右手でひょいとふんだくッて、左手へそれをのせ、向うへち
ょっとはねてほうりながら)大事にしなよ、なんか買えるよ、……へえどうも、毎度ありがと
う存じます、おあアりい(商人の。お帰りである。すぐ、向うへいくのにかぶせて)おおい、
こんだアね、あの糸屋のお鉄ちゃんがね……」
「なにょウやがんでえ、その手はくうけえ」
 「(ちiっと笑って)あいつ怒っていっちまやアがった。おッ、そりゃアそうと昨夜の豆腐が
あったじゃアねえか、だれが片づけやがったかな、あの与太郎だ、……おい与太、昨夜(ゆんべ)豆腐
どうしたい?」
「ありゃアだいじょぶンとこイしまっちゃったア」
「たかが豆腐じゃアねえか、どこイしまったんだい?」
「鼠がかじるといけねえからね、釜ン中イ入れて蓋アしといたからだいじょぶだ」
「豆腐を鼠がかじるてえやがら、ぱかだねこいつア、なめるもんだってあるんだぞ、釜ン中
へって……(と考え)あの、なんだろ? 一ぺんになん本もほうり込むんだってえんで、あ
の爛をつける湯ウ沸かした釜だろ? おいッ、ばかだねこいつア、この温気に釜ン中へ豆腐
オ入れるやつがあるかい、持ってこい持ってこい。……そこで蓋ア取ってみろよ、あッたい
へんなことオしちまやアがったい、この豆腐ウみろよ、おいみんなこれ……(与太郎に)て
めえみろよ」                  、
「黄色くなっちゃった、毛がぽおっと生えちゃった、すッぱそうだね」
「腐りゃアすッぱくなるんだ」
「じゃア、酢なんてものはやっぱし豆腐ウ腐らして取ンのかい?」
「ばかアいうない。やたらンとこイ捨てんなよ、裏の婆アさんに叱られるぞまた、……しよ
うがねえやまったく(ひょいと向うをみて)おいッ皆さんにね、お慰みを重ねて乙なものを
ごらんに入れます、表通りの変物がきやアがった、いま俺がね、あれをここへ呼び込むから……」
「堪忍してくんねえな、ありゃア助けてもらえてえな、いやな野郎だってきざな野郎だって、
男だか女だかわからねえ声を出しやアがって、あんないやなやつアないね、あれと塩辛ア大
嫌えなんだ」
「まアお待ちよ、あれを呼び込んでね、この腐った豆腐をね、あいつにくわしちまうから」
「そんなものオくうかい?」
「それがくうんだよ、ま、お待ちよ、おい、だれかそいつをこう釜からうまアく皿へ……、
そうそう、裏返しにしちゃいけねえよ、そう、毛の生えてるとこがそっくりそう上ンならな
くっちゃアおもしろくねえんだ、そう、いいかい? いいね(表へ)若旦那ッ、素通りはな
いでござんしょう? お寄んなさいな」
「(扇をふた間ばかり開いたのを、右手で口もとへ、ちょと当てながら)おや今日(こんつ)は」
「おいおい、おいこんつはときたよ、若旦那素通りはないでしょ、お上がんなはいな」
「おや、これは、皆さんおそろいで……(と、扇を口、左手をちょっとうしろへ、だから軽く上
体が左斜に)お邪魔になると悪しゅうがすから……」
「そんなことオいわねえでお上がんなはいな」
「さよですか、ではごめんなこうむって、ちょと一服……」
「おい、いつふくときたよ。……若旦那、あなた女の子に評判がようがすよ、町内で評判で
ござんすよ、噂とりどりでさ」
「あ、さょですか、いず方でげすな?」
「町内の女湯…:」
「女湯なぞは恐れ入りやしたな」
「お見受け申したところヽ若旦那、今日やア目がこうどんよりしてますね、血走ってますね、
昨夜あたり、ちょいとこう乙な二番目があったんでござんしょ? 夏の夜は短いねえなんぞ
愚痴があったでしょ? ちょいとそこオあけたらどうだい? やなんか(笑い声で)図星だ
ろ?」
「いうことが末枯れてるね、夏の夜は短いねえやなぞは、さすがはスンちゃん……」
「スンちゃんときたよ」
「あっしやア新ちゃんてえんだがなア情けねえ、……あったんでござんしょ?」
「(扇のさきを下唇へ軽く、二、三、当てながら)昨夜、ちょと婦人に顔をみせましたよ、登楼
をしたねえ」                 
「ええどんな工合でしたい?」
「まず二時とおぼしきころ、かの姫なる者が、拙の枕もとへぴたりと坐って、目をこうみて
おりました、まあなんとおすずやかな目つきじゃろうなぞをいいのね、拙のこの目を……」
「お、おいおい、おい受付変っとオくれよ」
「なんですか、目をこの……(右手を目の上へ)こんなことオしたんですかい?」
「三時とおぼしきころ、拙の鼻をみておりましたが、じれぎみてえやつだね(と、右手で抜
いて、それを逆手に持ち)簪を抜きの、拙のこの鼻を……」
「おうおうおうおう」
「……四時とおぼしきころ、股のあたりをつねつねやなぞあって、夜明け前に胴中を(右の
こぶしで軽いがちょいと突く形をする)」
「(ので)殺されちまうよ、驚いたねえ……。若旦那、けどまたあなたなんざア、ああでも
ねえこうでもねえという、まアご通家の方だ、だしぬけにへんなことオ訊くようでやすが、
たべものなんざア、夏向きのこの節にやアどんなものを召しやがってます?」
「やァ、これは異なことをうかがいますねえ、拙なぞはもう割烹店のものなぞは荷でやすな
ア、他人のくわんめずらかなものを食したいねえ」
「さっそくですがね、よそからもらったもんがあるんです、これがそのどうにもわからねえ
んで、あなたなんざアご通家の方だから、ひと目みてこいつアどういうふうにしてくうもん
だてえやつが、すぐわかっていただけるだろうてえ趣向なんですが、ひとつみていただきて
えと思うんで、どんなもんでござんしょう?」
「はは、ご到来物で、ではひとつ、拙が検分をいたしやしょうか」
「みつくれますか、おい、さッきのえてものを持っといで、……これでござんす(ぷうんと
くるのを堪えながら、早口に)若旦那、これひとつみてください」
「はは、あ、さよですか(むろん、おなじく、ぷうんとくるのだが、落着きはらって)ははア、
これは不思議だね」
「(ぷッと思わず吹いて)不思議だねッてますがね、若旦那、これたべもんでござんしょうか」
「たべもんでござんしょうかなぞは愚のあたりだね、もちろんでげす」
「(再び吹いて)もちろんでげすか、やったことがおあんなさいますか」
「やったことがあるかなぞはまた……、拙も一、二やったことがごわす」
「そうですか、じゃひとつ若旦那やってみとおくんなさい」
「や、では、いただいて帰りの、夕餉の膳に……」
「夕餉の膳なんてえ、小やかましいことオいっちゃアいけねえ、こいこちとらよそイいって出さ
れたときに、くい方ア知らねえで恥オかいたてえんじゃア町内の顔にかかわりますから、ひとつ、
たべてみせておくんなはいな、みんなア(見廻して)頼め頼め、……若旦那、ひとつ
上がってみとおくんなはい」
「では、失礼をもかえりみず、ちょとでは、いただきますか」      
「やってくれますか(右手をちiっと動かし)やるもなアなにがようがすか、あ匙(しゃじ)ですか、お
い匙、匙オ持ってきな、みてろみてろ、へい、みんなみてます、若旦那、やッつくさい」
「せっかくのおすすめであるから、では、いただきやしょうか」
「お頼申します」
「(左手に皿、右手扇の要のほうで二度ばかりスウスウと上へ)ええ、このウ……君方よくおぽ
えといで、この匙にかからんところが、この乙だね(顔はだいたい正面を向けて、目を下へ、
だから鼻の真ッ下になる膝へのせた左手からは、臭気盛んに立ちのぼるわけで、これをそオヅと扱
いながらたべょうとして)この、鼻へつうんとくるね、ここでやすね、値打ちは…:(またち
ょっと匙を動かそうとし)うむ(と、うなる)ここです味やうのはこのウ……(と、一つ咳払い
をして、首をちょっと左へ、すぐ正面へもどし、溜息! 目をつぷる、ロヘ……。むと堪え、口を
堅く閉じると、さッと扇を開いて、左手を鼻へ持っていき、急速に、こまかく、ぱたぱたとあおぎ)
や、乙だね(と、その隙をうかがって呑み込み、扇を今度はさッと閉じると鼻へ……、じいんとく
るので、両眼閉ず)」
「やったよ、やりました、こりゃア驚いたな、若旦那、やったね、驚いたねおやんなさいま
したねえ、けど、これ、いったいなんてえもんなんです?」
「まず拙の考えでは酢豆腐でしょう」
「酢豆腐はうまいねえ。なるほど、酢豆腐にやア違えねえ、若旦那(右親指を出して指し)
たんとおやんなさい」
「(扇で指し)いや、酢豆腐はひと口に限る」


まぁ、文字で読む落語って何でこうピンと来ないのか・・・。
これには「ちりとてちん」の文字は出てきません。

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December 19, 2007

豚まん。

2007_12_20buta

最近の豚まんはこんなんかね。。。
いらんことせんでよかろうに・・・(@_@)。

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December 18, 2007

鴻池の犬。

今日やってましたなぁ。
感動的なお話やぁ~・・・と思いきや・・・
なかなか九州人にはとっつきにくいオチでんなぁ~。。。

 落語のほうで、よう運、不運てなことを言いますが、運の良え人間と悪い人間とではえ
らい違いで、芸人なんかそれがずいぶん影響いたします。力もないのにトントンと行った
奴もあれば、実力があっても売れん奴もある。まあ運の良え人と悪い人とではちょっとし
たとこで違いまんのやな。
 小便一つしても運の良し悪しがあるちゅうくらいなもんで、会社へ行こうと思て家を出
しなに、ヒョッとこうトイレヘ行きとうなった。で、中へ入って用を足して出てきたらそ
こで電話のベルがジーンと鳴る。あたりまえならもう出てしもうてこの電話問に合わん。
奥さんが「もう出ました。えらいすみません」と言うのがトイレヘ入ったためにこの電話
に間に合うた。で、取り上げて聞いてみると、自分の取引先の会社に居てる心やすい友達
で「おい、あのな、話してたやついよいよ決まったんや。ああ、やることになったさかい
ちょっとでも早よおいで。競争相手仰山おるのやさかい直においで」「そうか」ちゅうて
電話切って自分の会社へ電話して「今日はいきなりあっち行くよってに頼んまっさ」ちゅ
うて先方へ乗り込むと、一番乗りでその話がトントントンとまとまって、何億という取引
がそこで成立をする。意気揚々と会社へ帰ったらその日に限って社艮が来ててね、「やあ、
君ようやった、えらいやっちゃ、うーん」てなもんで、大勢の前でほめられる。三日後に
重役会議がありましてな、「今度の異動どないしょう、あいつひとつ抜擢してやれ」ちゅ
うんで、自分の同僚全部蹴ちらかしてバーンとこれが出世をする。これからトントントン
と重役コースに乗って、社長の令嬢と結婚してのちに社長に就任するということになった
ら、この人もう便所に鳥居立てて拝まんならんてなことになる。ありかたい小便ですな、
こうなると。
 こんなありかたい小便があるかと思うとまた、この運の悪いほうになるとこれはこうは
行きまへんさかいな。やっぱり会社へ行こうと思うたとたんに尿意を催した。しゃあない
さかいトイレヘ入って出てきたら電話のベルがジーン、あたりまえならこいつ間に合わん
電話やけれども、トイレヘ入ったために、この受話器をつかんだら、これがまた、なんの
別にこれという用事もないのに話の長い人で、ダラダラダラダラ、気がせいてイライラし
てんのに、無下にこれがガチヤンとやれない相手やさかいに、「はア、はア、わかりまし
た。いずれまた」「それからね、あんた」ちゅうてまた五分ぐらい、「アー」とこうイライ
ラしながらようよう電話を切って表へ飛び出したが、もうバスには遅れてますわ。しゃあ
ないさかい次のバス待ってたら、次のバスが満員の鈴なりで二台ぐらいやリ過ごして、よ
うよう次のに乗って駅へ着いたら電車が今出たとこで「ああ、車はないし……」二十五分
ほど遅れて会社へ着いたらその日に限って社長がデーンと、こうすわってる。「ニ十五分
も遅刻してるやないか」皆の前でえらい叱られて二二日後に重役会議がございまして「こ
こへやるのん誰をやろ」「あいつにしといたらええやろ」ちゅうんでポーンとこれが左遷
されてしまう。「いやおもろない」ちゅうんで毎日毎日やけ酒ばっかり飲んでる。そうす
るとお腹の具合が悪なって「イタイ、イタイ、イタイ」それがちょうど日曜やさかいどこ
の病院も誰も出てくれへん、救急車に乗ってずーっと探しまわってるうちに、こいつがパ
ンクして動けんようになってしもて、ようよう何軒目かの病院へ運び込まれて診察すると
「こら腹膜炎を起こしてる。一刻を争う、すぐに手術や」台の上へ乗せられて、腹をサー
と切りひらいたところで停電になってしもうたてな……。まあー気の毒ともなんとも言
いようのないような、こういう小便もあるんでっさかいな。運、不運というのはどこにこ
ろがってるやわかりまへんわな。   


    
旦那「常吉、常吉」
常「へえ」
旦「寝ぶたかろうがちょっと起きとおくれ。いやいやまだ起きる時刻やないのじゃがな、
 年とると、どうも夜敏(よざと)うなって、最前からうつらうつらしてた。表にドサッちゅうて
 何やら置いていたらしい。拾い屋が紙屑でも置いていたんとちがうかいな、そいつをあそ
 こでより分けでもしてんのんかいな、ええ。紙屑やというて、ひょっと焚火でもされた
 らえらいことになるでな。ああ。貰い火はしょうがないが、うちからは火は出しとうな
 いで、ちょっと見てきてくだされ」
常「旦さん、えらいこっておます」
旦「どうしたんや」
常「うちの表に捨て子がしてございます」
旦「捨て子、そらえらいことじゃ、どんな具合や」
常「ミカンかごに入れてボロ切でくるんであります」
旦「おお、むごいこっちゃな。よくせき困った親御さんじゃなア」
常「これ返してきまひょか」
日一「そら、何を。言うのや。捨て子が返しに行けるかいな。それとも。子を捨てた親は、
拾うて内らへ持って入られるまで、そばをよう離れんてなことを聞いたが、誰かそれらしい
 人でも居てなはるか」
常「どなたもおいでやおまへん」
旦「どこへ返しに行くねん」
常「お隣さんへ」
旦「お隣が、なんで捨て子をしなはるねん」
常「いえ、これ初めお隣に捨ててあったにちがいおまへん。ヘエ、お隣の人、先に起きて
 見つけはったんでんな、うちの方ヘズーッと引きずってきた型が地面に残っとります」
旦「アッハッハ、お隣さんのなさりそうなことじゃ。町内一の仕末屋やでな、向こうは。
 まあまあこっちへ引きずってこられたもんなら、放ることもでけへん。こっちへ入れて
 やんなはれ」
常「………えらいこっておます」
旦「どうした」
常「ご兄弟が居てはりまっせ」
旦「そら騒動やがな、捨て子何人ござるねん」
常「三匹でんねん」
旦「三匹」
常「犬の捨て子でんねん」
旦「それを先イ言わんかいな、びっくりしたがな。捨て犬かいな、ああ、まあまあ犬でも
 生き物じゃ。見殺しにもでけん、こっちい入れてやり。ああ皆元気かえ」
常「旦さん、下にボロ切敷いて、上にもボロ切が乗ってます、けどこれは今の今まで親の
 そばに居てたんでんな、三匹ともまるまる肥えてまっせ。ああ、むくむくしてるな元気
 のええ犬やなア。あのこういう仔犬は日本の犬のほうが可愛らしおまんな、西洋の犬は
 どうもわたいら好かんけどな。こいつ、白黒でブチ言いまんねんやで、こいつはえらい
 白いな、一番下に居てるこれ、真っ黒でっせ。さし毛一本もない、真っ黒、これムク犬
 いいまんねん、こういう犬は強いんだっせ。尾かて左へ巻いたあるわ、この犬わてにお
 くなはれ」
旦「そら何を言うのやいな、丁稚奉公してて犬もろてどうするねん、ええ。何とかせなあ
 かんが……わしや犬なんか飼うたことないで勝手がわからん」
常「わたし、お父つぁんが犬飼うてたんでよう知ってます。小さいとき世話もしました。
 こんな小っちゃい犬はな、まだ御飯もよう食べへんさかい、お粥さんやらおじや炊いて
 カツオの粉かけたりして育てまんねん」
旦「ああ手間のかかるもんやな、お前が飽かずに世話をするというのやったら飼うたらて
 もええが……」
常「わてなんぼでも世話しまっさかい、置いたっとおくなはれ」
 これが縁で犬が居つくようになりました。五、六日もたつと、すぐ家の人に慣れて店先
で什事してる足もとをコロコロとじゃれまわったり、使いに行く子供のあとをついて行た
りして可愛がられておりますうちに何日かたちます。ある日のこと、
O「ちょっとおじゃまを致します」

旦「はい」
O「こちらの主さんは」
旦「わたしですが、なんぞご用で」
O「へえ、あのわたしは通りがかりの者でおますのやが、今表で遊んでます三匹の小犬、
 あれはお宅さんの犬でおますかいな」
旦「はあはあ、今ぶんではわたしとこの犬じゃが、畜生のことじゃで、粗相でもしたら堪
 忍してやっとおくなされ」
O「いやそうやございません。あの中の一匹をいただきたいと思うてお願いにあがりまし
 たんやが」
旦「ああ、よう来てくれはった。商人の家に三匹も犬が居てるとどうもややこしいて困る。
 どなたぞ一匹でも二匹でももろうていただきたいと思てたとこで、どうぞどれなと持っ
 てお帰り」
O「早速の御承引、ありがとうございます。あんなかで、真っ黒の犬がおますな、あれを
 ちょうだいしたいと思いまして」       ’
旦「クロが気に入りなはったか、誰の見る目も一緒やな、うちの丁稚連中もあのクロを一
 番可愛がってます。いやいや、そんなことはちっともかまやしません、どうぞどうぞ連
 れてお帰りやす」
O「さいでございますか。ありがとうございます。えエ、主に申しましたらさぞかし喜ぶ
 ことやと思います。今日は通りがかりでございますのでいずれ日を改めまして、吉日を
 選んでちょうだいにあがることに致しますで、その節は何分よろしゅうおたのう申しま
 す。おじゃまを致しました。ごめん」
旦「……なんじや、あの人は。……常吉、犬可愛がるのももう大概にしときなはれ。近所
 であそこの家は犬気違いやとか噂でも立ってんのやろ、なぶりに来なはったんやがなあ
 の人は。犬の子一匹もらうのに主に言うたらさぞ喜ぷでございましょうとか、吉日を選
 びまして……何を言いくさるのじや。犬可愛がるのもええかげんにしときなはれ」
 そのまま忘れとおりました。十日あまり経ったある日のこと。この間犬をくれェと言う
てきた人が今日はまた紋付きに袴をつけまして手に扇子を持って、
O「ごめん。これはこれはご主人様でございますかいな、こないだはどうも失礼をいたし
 ました。本日お約束の犬をちょうだいにあがりましてございます。エー、帰りまして、
 手前どものに主人に申しましたところが、ことの外の喜びようで早速にちょうだいにあが
 れと、こう申しますのを良え日を選びまして……今日は天赦日でございまして、まこと
 にお日柄もよろしゅうございます。犬をいただきにあがりました。ちょっとそれをこっ
 ちへ持ってきなはれ、はいはい。これはほんの些少の品でございますけども、ま、手み
 やげ代り、どうぞお納めを」
旦「お身なりが替ってるのでお見それしとりました。こないだ犬をくれと言うて来なはっ
 たお方でんな、あの節あのクロを上げるとお約束致しましたが、都合により犬の話は変
 換えにさしてもらいます」
O「……なんかお気に障りましたか」
旦「ああ、障リました、えらい障りじゃ。わたしはな、この町内に古う住んでおりまして、
 界隈で名前を言やぁ、大概ご存じ、人様のお世話なんかもさしてもろうとります。信用
 というものもいささかいただいております。犬の子一匹、猫の子一匹、もろうたことも
 上げたこともないが、ものには程、相場というものがございます。ジャコの一つかみか、
 鰹節の一本でも持ってお越しになったんなら、ああどうぞと上げるがな、なんでんねん
 これ。……他人様からいただいたものに値段をつけて申しわけないが、鰹節が二箱、酒
 が三升、反物が二反ついておりますな。あそこのうちは拾うた犬で銭もうけしたと言わ
 れたら、わしゃ大きな顔してこの町内は歩けん。察するところ医者の手を離した病人で
 もおありになって、八卦見にでも見てもろたら令身真っ黒の犬の生き肝を煎じて飲まし
 たら良えとか、まあそんなことでもあってお越しになったんかと思う。三日でも飼や情
 が移ります、そんなむごたらしい目にあわしとうない。これもって帰っとおくなされ」
O「これはどうも、言葉が行きとどきまへえでまことにどうも申しわけない、失礼致しま
  した。実はわたし、今橋の鴻池善右衛門の所の手代で佐兵衛と申します。主人の坊が
 黒い小犬を飼うとりまして、それが大変気に人りまして、クロよ、クロよと毎日遊び相
 手にしておられましたン、ところがその犬がコロッと病気で亡くなりました。それから
 えろうむずかりましてな、クロを呼べ、クロがおらんと言うて、似たような犬を持って
 きましてもクロと違う、クロはどこへ行たちゅうて泣いて手がつけられませんので煩
 いでもしたらどうしょうと、主人初め心配を致しておりました。この間ここを通ります
 と、こちらさんのあの黒い犬が、まあ、そっくりそのままでございました。やァれうれ
 しやと早速飛び込んでえらい失礼なお願いをしたようなわけで、帰りましたら主の善右
 衛門も非常に喜んで一日も早ういただきたいと申してましたのでございますが、実はそ
 の、先代の黒がえらい若死にでございましたのでゲンを気に致しまして、良え日を選ば
 してもろうたようなわけで、ま、これはほんの心ばかりの品でございますが、主の喜び
 ということでまげてお納め願いたいと思います。あの犬もオスの犬でございますので、
 手前どもヘ言わば養子にいただいたようなもんで、こらまあ結納代リてなもんで」
旦「ええ、相手は鴻池はんでおましたかいな、ま、えらいこっちこそ失礼を。そらまあ、
 ……鴻池さんならこれぐらいなことはあるやろなア。あの犬は幸せもんじゃなア。日本
 一の金満家のおうちへもらわれるのやがな。そうでおますか、鴻池さんなら遠慮なしに
 ちょうだいいたします。どうぞご主人によろしゅう」
O「はい、これをご縁に以後は親類づきあいを……」
旦「そんな、アホな。鴻池はんと親類づきあいがでけますかいな。なんちゅうことをおっ
 しゃる。ええ、ではどうぞま、可愛がってやって下さいますように。はい、皆様にどう
 ぞよろしゅうお伝えを、お礼を申し上げてたとな」
O「ありがとうございます。乗物をこれへ……」
 立派な輿がそれへ運ばれてきます。四隅に金具が打ってある。中に緞子の布団が敷いて
ある。その上へ犬を乗せましたんやが、この犬もつい昨日まで、炭俵の上へ寝てたやつ、
緞子の布団の上てな、あんまり寝よいもんやおまへんわ、なんや気色の悪そうな顔をして
こう横になってる。二人の人間がそれをかつぎ上げます。
O「あちらの方へお越しの節にはぜひお立ち寄りを」
旦「はい、また犬の顔でも見せていただきにあがりますで、どうぞよろしゅうに」
 悠々と鴻池の本宅、今橋までやってまいりました。さあ、これを子供に見せたところが
クロが帰ってきたというので大喜び、いっぺんに元気づいてしもうた。この犬を殺しては
大変やというので、医者が三人ばかり、かかりきりに付いております。朝からクシャミし
たちゅうては薬飲ます。今日は飯の食い方が悪いというては脈を診るてな、大変な騒ぎで、
広い広いお庭で放し飼いです。結構な苔やなんかをほじくりたおしたり、泉水へ飛び込ん
だりしてじゃれて走りまわってる、何をしても怒られんという……わがまま一杯に育ちま
した。毎日毎日滋養のある精のつくものを食べるので、大きなたくましい犬になった。外
へ出てどんな犬と喧嘩しても負けたことがない、船場中の犬の大将になってしもたんでん
な。鴻池のクロというたらちょっと知らんもんがないというくらい、えらい顔役になって
しまいました。大概のもめ事はみなここへ持って行ったらおさまります。
伏「なあ和泉町」
和「なんや伏見町」
伏「こないだの一丁目と三丁目の喧嘩、あれまだ仲直りしてないねん」
和「そうやがな、あいつら片意地なさかいな、今でも道で会うたら尾を下ヘ巻いてお互い
 にウーッいうて唸り合いしとるねん。ええかげんに仲直りささなあかんで。鴻池の大将
 にいっぺん口きいてもらおか」
伏「ほなそないしょ」
和「連れといで、一丁目と三丁目を……」
伏「ええ、鴻池の大将」
ク「なんやいな、近所の連中揃うてやってきて、どないしたんや」
伏「ヘエ、ちょっとまたお手を煩わしたいことがおまんねやが、例の一丁目と三丁目の一
 件でやすねん。この前かみ合いしてからな、わたいらが仲へ入っていったんは仲裁しま
 したんやけど、二人とも片意地な奴やさかい今だにウーッちゅうて、赤目つリ合うてま
 んねやがな。なんとかひとつ仲直りをさしてもらえまへんやろかなア」
ク『しゃあない奴やなあ。もうあいつら血の気が多うてどんならん、こっちィ連れといで、
 ……こっちへ入り、……一丁目と三丁目かいな、お前らほんまにもう、いつまでも子犬
 やないのやで、おい。こんなんもう、水に流し。友達が中へ入って口きいてくれたんや
 ろがな、ええ、そんなもん根に持らたらいかん。ええか、わしが今度はもの言うたんや
 さかい、今度こそ仲直リしてもらわな困るで。おい、なんぞあるやろ、持ってきてやれ。
 ハマチか。ああそいでええわ。そのハマチちょっと五、六本こっちい持ってこい。さ、
 それ食べて仲直リせえ、えツ、お前らがまた喧嘩したてなことがあったら、今度はわし
 が承知せんさかい」
三「どうもえらいすまんこっておます。ほんなら御馳走になりまっさかい」
ク「ああ、それ一匹ずつ食べたらええがな。皆ご苦労はんやったな、皆もそれおあがり。
 ああ、今度もめたらおれが承知せえへんさかい」
和「どうもえらいすまんこって」
 大概の喧嘩がこの人が顔出したらみな納まってしまう。そのうちに。立候補して参議院か
なんかに出るのやないかという、えらい顔役になってしもた。
 今日しも鴻池の人将、天気が良えさかいにちょっと世間でも見よう、てなもんで、ずー
っと門口まで来て敷居の上へあごのせてこう、キョロキョロ、表のほう見てなはる。向こ
うのほうからガリガリにやせた骨と皮のみすぽらしい犬、ところどころ毛が抜けて病持ち
ちゅうことが一目でわかります。ヒョロヒョロヒョロヒョロしながら町内へ走りこんでき
た。
平「おい、順慶町」
順「なんや平野町」
平「見かけん犬やな、あの犬は」
順「ああ、あらえらいやせてけつかるな。フーンどこの奴や」
平「野良やな」
順「そうやな」
平「この町内、挨拶もせんと通りくさって、船場の犬やないやろ。いてもたろか」
順「いっぺんうたわしたろ(ウタワスは音をあげさせる意)、うたわしたろ」
平「よっしや、腕力でいたれ」
 犬やさかい、たいがい腕(ワン)カです。しめし合わしてそのやせこけた犬の前と後へ、こう
両方に分れて、ワワワワーン、飛びかかった、たまったもんやない、キャインキャインキ
ャインーと鴻池の方へ逃げてきた。
ク「こらこらこら、こらッ、何をしてんねん」
平「あっ、こら大将でやすか」
ク「大将やないがな、こんな病持ちの、そんな情けない犬をいじめたりしないな、弱いも
 んいじめしな」
平「弱いもんいじめちゅうわけやおまへんのやけどな、このガキ、よその土地のもんやの
 に挨拶もせんとこの町内通るさかい、ほいでいっぺんうたわしたろと思て」
ク「うたわすやなんて……そんな柄の悪いこと言うのやないがな。処で吠えん犬はないち
 ゅうわい、お前らかてよその土地へ行ったらおんなじ目にあうのやがな。そんな弱い者、
 いたわったらないかんやないかい。……おい、お前もお前やがな。な、知らん土地へ行
 たら挨拶をして通らんかいな。ちょっと仁義切っといたら誰も何にもせえへんのやさか
 い、一言お前、念が足らんさかいそういうことになるのや」
△「ヘッ、えらいすんまへん。ただいまはまた、納めていただきまして、危ないところを
 ありがとうございました」
ク「いや、礼言わいでも良えが、お前どこの者や」
△「今宮から参りましたん」
ク「遠いとこから来たんやな、今宮から」
△「へえ、お腹ペコペコに減らして歩いてましたらな、あれは船場の丁稚さんでしたんや
 ろな、大きな焼き芋を二つ買いはって、それをこう食べながら皮をパッとこう放りまん
 ねん。ほいでわたいそれを食べて、しばらくすると芋食べては皮むいてパッと放りまん
 ねん、その皮につられて……… 一番しまいにへたをポーンと放ってくれはるン、二つめ
 の芋もまたずーっとついて歩いて二つめのへたをポーンと放ってもろてそれ食べてフッ
 と気がついたら、知らんとこへ来ておりましたんで。お芋につられて船場まで迷いこん
 でしまいました」
ク「そうか、よっぽど腹減らしてたんやな。お前今宮の生まれかえ」
△「いえ、生まれは船場でんねん」
ク「船場か、土地のもんやないかい、お前。フーン、船場はどこや」
△「あのオ、南本町の人きな質屋はん、用水桶の大きなのがあったん覚えてます。その筋
 向かいのおうちでんねん」
ク「南本町の質屋の用水桶…:あったあった。それは耳よりな話やが、あのへんに池田屋
 はんちゅう家があったん知らんか」
△「へえ、わてその池田屋はんで大きなったんで」
ク「池田屋はんで、……お前に兄弟なかったか」
△「三人兄弟でしたんやけどな、一番上の兄さんは幸せなお方で、鴻池さんへもらわれは
 りました。へえ、次の兄さんはな、表ヘパーッと走りだしたら車がガラガラッと来てパ
 ッとはねられてキャーンと言うたがこの世の別れ、あえない最期をとげましてございま
 す。わたしひとりだけ残ってむこうの家に飼うていただいてましたんやが、悪い友達が
 でけましてな、拾い食いやら、盗み食いやらの味を覚えて……」
ク「盗み食い……。おい、あんな結構なおうちに住んでて、盗み食いするとは何事や」
△「さあ、それがおもしろいもんでっさかい、魚屋の盤台からイワシ盗んだり、あっちや
 こっちへ、もうそのうちにだんだんだんだん遠いとこへ拾い食いに行たり、道に寝たり
 するようになる。バチが当たったんでんな、悪い病気わずらいましてこの通り毛が抜け
 てしまいました。今まで可愛がってくれてた丁稚さんが嫌がってな、遠いところへ捨て
 られた。わてやっとの思いで帰ってきたら、石ぶつけて中へ人れてくれしまへん。しゃ
 ないもんでっさかい、あっちヘフラフラこっちヘフラフラ、流れ流れて今宮の、場末に
 今は落ち着いた次第でおます」
ク「そうか……。苫労したんやな。……わからんもんやなア、おい、一丁目も二丁目も平
 野町も聞いてくれ。こいつわしが幼い時分に別れた、おれの弟や」
三「えっ、これ大将の弟はんでやすか」
△「はたらあんた鴻池の兄さん、あーあ面目ない」
ク「そら何を言うのや。面目ないのはこっちやがな。盗み食いするお前みたいな弟がある
 とわかったら、わしは世間へ尾が上がらんがな。ほんまにさもしい気おこしやがったん
 やな。しかし、心配すな、もう今日からわしがついてる。なぁ、大丈夫や、お前の身体
 おれに任せ。な、医者にかけて治したる。なんやったら有馬へでもしばらく湯治に行て
 もええのやさかい……。皆、わしの弟やおれ同様に面倒見たってくれ」
和「えらい最前は、知らんもんでっさかいどうも、えらい失礼なことを致しました。ああ
 しかしなんでんな、争われんもんでんな、やっぱりこの鼻すじのあたりがよう似てまん
 な」
ク「そんなおかしなベンチャラ言いな。おい、ええ、一昨日から何も食べてえへんのか。
 そら可哀そうにな、なんか良えもんもろてきたるわ」
と言うてますと、向こうの方から、
主「こいこいこいこい。こいこいこいこい」
ク「おう、ご主人がなんや呼んでござる。こいこいこいちゅうてはる、良えもんもろてき
 たるさかい、ちょっと侍ってえよ」
 ごんぽのような尾を振ってパーツと走って行ったかと思うと、こんな大きな鯛をくわえ
て帰ってきた。
ク「さァ、これ食べ」
△「大きな魚でんな、こらなんでんねん」
ク「こらお前、鯛の浜焼きや」
△「鯛の浜焼き、こういう御馳走があるちゅうのは聞いてまんねやけども、お目にかかる
 のは今日が初めて、兄さんどうぞ身ィおあがり、わてはあとで骨いただきます」
ク「なにを言うのや、鯛の骨みたいな硬いもん食べて、のどへ刺さったらえらいことにな
 る。遠慮せんとみな食べたらええのや。わしゃこんなもん始終食べてんのやさかい」
△「ほなちょうだい致します。へえ、おいしいもんでんな。うわー、これが兄さんの器で
 やすか。漆の塗りで上等でんなァ。こんなんで食べてたら舌が荒れいでよろしい。ヘエ、
 わたしら、あんた、すり鉢で食べてまっさかいに、もう舌ザラザラになっとりまんねん」
 しばらくするとまた、
主「こいこいこいこい。こいこいこいこい」
ク「おッまた呼んでござる。ちょっと待ってえよ」
 また尾を振ってビューッと行たかと思うとまた何やくわえて帰ってきた。
ク「サァ、良えもんもろてきたぞ」
△「兄さん、こらなんでんねん」
ク「こら、う巻きやがな」
△「う巻きちゅうたら」
ク「鰻を卵で巻いたあるのや、ご主人ちょっと嫌になったとみえてわしにくれはったんや、さァお前食べ」
△「ヒャー、えらい御馳走でんな。兄さんおあがりやす、余ったらわたし、いただきます」
ク「いやいや、気がねせんとなんぽなと食べたらええねん。わしゃこういうもん食い飽き
 てるのや、ああ。今晩あたり、あっさり奈良漬で茶漬でも食べたいなァ思てんねん」
△「ぜいたくなお方やな。さよか、ほないただきます」
 しばらくするとまた、
主「こいこいこいこいこい」
ク「おッ、また呼んでござるなあ、今日はえらい呼ぶが、さては、弟が来たというのが判
 ったとみえるな。今度はあっさり汁のもんかなんかもろてきたるさかい、待ってえよ」
 また尾を振ってバアーッと走って行たかと思うと、今度は尾を下げてしおしおと帰ってきた。
△「兄さん、今度は何くれはりました」
ク「何にもくれはらへんねん」
△「でも今、こいこいこい、言うてはりましたがな」

ク「坊ンにおしっこさせてはったんやがな」


文字で読んでしまえばこんなものか。
テレビでは盛り上げ過ぎや。

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December 16, 2007

ジャズライブ。

2007_12_16piano

ピアニストさんのライブは今日らしいですね。
行かれる方、楽しんできてくださいませ。
私しゃあCDでも聞いて我慢します。
ウラヤマシイ・・・・ぶつぶつぶつぶつ。。。

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ラーメン缶。

2007_12_14men

1個が399円もするのに一体、誰が買うんだろう??

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December 15, 2007

算段の平兵衛

古い言葉がだんだん廃れてまいります。算段という言葉も、これ、近ごろ、言わんようになりましたなあ。まだ段取りちゅう言葉のほうが使われてます。ちょっとお前段取りしときいなとか、段取りが悪かったなあとか言いますが、算段のほうは、やりくり算段と、上にこの「やりくり」という言葉がついたら、まだ今でも使いますが。ま、しかし算段のうまい男というのは、わりとあるもんですな。
 どこの会社にも、どこのグループにも、あいつに任しとけ、なんとかやってくれるわ、と言われるような人がある。ほんならこうやって、ああやって、てなことで。で、そういう奴に限って自分のことは、案外算段がうまいことないんで。エー、会社の忘年会かなんかの算段は実にうまいことやる、あとの福引きの景品なんか、どっからともなく集めてきたりして、で、家へ帰ったら借金取りが五人ぐらい待ってたりする。自分のことちゅうのはあんまりうまいこといかんものですが。

 大坂近辺の農村で、算段の平兵衛という異名をとった男がある。エー、農家の人やさか
い純朴な方が多い。で、そういう要領のえぇ頭のきれる、妙なほうへ頭の働くのがおりま
すと、まことに巧妙に立ちまわれますわな。で、まともに働くのがイヤになります、こう
いう人は。なんやかんやわけのわからんことをやっては利益を得て、世渡りをしてる。ほ
いで一生懸命、朝は朝星、夜は夜星をいただいて働いてる人よりもうまい酒飲んだりして
る算段の平兵衛。
 そこの村の庄屋さんが、お花という二号さん・・・・・ま、もっとも二号さんてな、言葉の
なかった時分の話で、昔はお妾はんとか、お妾はんとか言うたんですな。・・・・・上方に昔、
「こなから」という言葉がございまして、「こなから」という枡(ます)があったんですな。今はもう一升
枡もないようになりましたが、二合五勺の枡を「こなから」とこう言うたんです。これは非常
に便利な枡で一升や五合てなんは大きい。一合は小さい、二合五勺ちゅうのは使いよい枡
やったんで、こなからという枡が酒屋さんにでも家庭にでもあったもんで、でこの一升の
ながら(半分という意味)、なかばが五合で、更にその半分というので、こなから。で、二
合半(二号はん)ですな、これが。そやさかいお妾はんのことを、「こなから」とこう言いま
した。まあ実にしゃれた言い方、大正期になって二号さんてなことばがでけてから、こん
な言葉が使われるようになったんやろうと思いますが、この庄屋はんのこなからがお花と
いう女。で、これがこの本妻さんのほうの耳に入りますと、これはもう例によってこれで
(額に角の生えるシグサ)、自分のほうは年々容色が衰えるちゅうわけでっさかい。お花をな
んとかしてくれ、同じ村に置いとくとはけしからんやないかと、毎日のように騒ぎ立てる
ので、とうとういくらかの金をやって手切れということになります。
妻「あんた、あのお花をいったいどうするつもりだす」
庄「どうするて、……お前がやいやい言うさかいに、ちゃんと別れたがな」
妻「別れた言うたかて、あのお花が同じ村にいてたらわて安心がでけんわ。放り出しなはれ」
庄「何を言うのやお前、別になんの罪科ないもんを放り出すわけにいかんがな。村を放り
 出すなんて大変なことやで」
妻「あんた庄屋やろ」
庄’「なんぼ庄屋でもそういうわけにはいかんのやて」
妻「そんなこと言うたかて、この同じ村にいてるのでは、いつ又ヨリが戻るやら、わたい
 とても安心ようせんわ」
庄「安心ようせんちゅうて……ほたらどないしたらええねん」
妻「ほな、どっかへ嫁にやんなはれ」
庄「嫁にやんなはれて、猫の子やるようなわけにいけへんがな。わしの持ち物やったこと
 は村中みな知ってんのやし………えぇ、やいやい言いないな、もううるさいなあ。しょう
 がないやないかな。村を罪もないのに放り出すちゅうわけにいけへんし、嫁入りを無理
 やりに……そんなこと言うたかてお前、困ったなあ……いっぺん算段の平兵衛にでも相
 談してみよかなあ。……ああ、そういうと平兵衛、あれまだやもめやがな。あいつ……
 お花もろてくれへんかいな、あれ。いっぺん話してみよ」
ちゅうわけで話をすると、平兵衛のほうも、いくらかの持参金はついてるし、もとより別嬪
の女子やし、喜んでお花さんちょうだいしますと言う。お花も心細うなってるし、そん
なら何分よろしう……というので、庄屋夫婦が仲人になって、お花は平兵衛のところへか
たづきました。さあ、ネギをくわえてカモが来たてなもんで、金のある間は朝からでも肴
あつらえて一杯飲んでます。久しぶりに稼いでこようというのか博打でっさかい、勝てる
とは決まってない。負けがこんでくると、金はもとより着物に手がつく、かんざしに手が
つく。すっくり無いようにしてしもた。どうにもしょうがない、こらいかん、お花が米て
からみんなあいつのものを手エつけてしもた。ちょっと稼かないかん、思惑をしょうちゅ
うわけで。あっちやこっちへ走りまわって、何かしの口銭をとろう、鞘をとろう、いろい
ろな話の中に入って、今で言やブローカーですな、掠(かす)りをとろうとか、なんかいろんなこ
とをやってみても、悪い時ちゅうのは、何もかもうまいこといかん。できかかった話がつ
ぶれる、八分通りまとまった話でもトンビに油揚さらわれる、博打しに行たら負けてしま
う、どうにもこうにも、しょうかないようになる。弱り目に崇り日、泣き面に峰、貧すり
ゃ鈍する、藁打ちや手ェ打つ、便所へ行たら人が入っとおるちゅうぐらい、……どないも
こないもしょがないようなってしもた。
平「しゃあないなあ。お花、うちに今銭なんぼある」
花「なにを言うてんのやいな、三文もあるかいな」
平「……米あるか」
花「お米、とうに切れてるわ」
平「……フム、酒は」
花「神さんに供えてあるのが五勺ほどあるだけや」
平「このさなかに、御神酒なんかどうでもええやないかい、お前。醤油は」
花「切れてる」
平「味噌は」
花「切れてるがな」
平「油は」
花「切れてる」
平「……切れてないもんは」
花「包丁だけや」
平「……チェッ、こらしゃあないなあ、こら。エエ、わしも算段の平兵衛とまで言われた
 男やが、こうやる事なす事がみな食い違うてしもたら、どうも仕様がない。ちょっと思
 惑があるねんけど、お前手伝え」
花「何手伝わすつもりあんた。いややでわてもう。あんたろくなこと手伝わさへんのやさ
 かい」
平「金儲けやがな。……庄屋の親爺がな隣村へ今朝がた行きよった。で、わしゃ今日は一
 日ここでへたってたんやか、まだ向こうから帰ってきた気配はない。日が暮れまでには
 帰ってくるやろと思う。あのハゲちゃんまだお前に未練たっぷりやさかい、向こうから
 帰ってきたところでうまいこと言うて、家ン中へちょっとくわえ込め」
花「どないするねんな」
平「美人局ちゅうやつをやるねん」
花「美人局て、なんやねん」
平「色仕掛けで、男をひっぱり込んで、デレデレときて、向こうか手ェの一つでも握るか、
 肩でも抱きよせたところで、わしが割木かなんかつかんで、間男見つけた、そこを動く
 な。……そこで金とろうちゅうのや」
花「いややで、そんなことわてようせん」
平「しょうがないがな、背に腹はかえられんちゅうことがあるがな。こないだ辰とこかて
 やったんや」
花「なにかいな、辰つぁんそんなことするのんか」
平「辰かてそんなこと別にしたいことあれへんがな。もうどうにもこうにも仕様がないよ
 うなって、……あいつの嬶、ちょっと渋皮がむけた良え女やろ、ええ。金持ってる奴を
 くわえ込んで、やったんやがな。間男見つけたそこを動くなあ、金にしょうちゅうね
 ん」
花「へえ、あの人、辰つぁんとこのあのお美代はんが、そんなことしたん、まあー、恐ろ
 しい」
平「恐ろしいちゅうたかて、度胸決めたらそんなことぐらいできるがな」
花「ほいでうまいこといたんかいな」
平「それかあかなんだんや」
花「なんでえな」
平「間男見つけた、そこを動くな、ちゅうとこをあわててたもんやさかい、美人局見つけ
 たあ、ちゅうてしもた」
花「白状してるようなもんやないか、それやったら」
平「なんにもならなんだんや」
花「そんな阿呆な」
平「わしゃそんなヘマなことやれへんわいな、ええ。……オォッ、話をしてたら向こうか
 ら庄屋がこっちへ帰ってきたで。おい用意せえ、用意せえ」
花「いややがなわて」
平「何を言うてんのやいな、もう。鬼の女房に鬼神ちゅうことがあるわい。度胸決め、度
 胸を………ええか、ぬかるなよ。早いこと、白粉でもはいて、ちょっと顔直して、ほいで
 その酒おろして、五勺でもかめへんとにかく燗をして、飲ませェ。ちょっとデ
 レデレェーともっていけよ」
花「知らんでえ、わて」
平「いやあんじょうやらなあかんぞ。俺はこっちへ隠れてるさかい」
 もうこうなると女というものは、やっぱり亭主に従うもんですか、お花さんもそんな女
やなかったんやが、もうしょうがない。あわてて用意して待っている。災難なんはこの庄
屋はんですな。暗剣殺に向こうたようなもんで、なんにも知らずに隣村のほうから、フラ
フラ、フラフラ帰ってきた。
花「旦那、お庄屋さん……旦那」
庄「……おおっ、お花かいな。久しぶりやな」
花「はあ、ごきげんさんで。あんさんもお元気でお変わりもございませず」
庄「おかげでやが、お前はんのほうは、お変わりもなしにと言いたいが、……ちょっとや
 つれたなあ、このごろ。どうしたんやいな。平兵衛まじめに働いてるか」
花「いいえ、もう。も、……ちょっとお話聞いていただきたいことがございまんのん。ち
 ょっとあの、上がってもらえまへんやろか」
庄「ええ、あかん、あかん、こんなところへうかうか上がってて、平兵衛に見つかってみ
 いな。どんなこと言われるやわからんかな。いいや、こらもうちょっと遠慮しとこ」
花「いいえ、うちの人ちょっと、旅してまして今日は帰ってけえしまへん」
庄「何かいな、平兵衛今日は留守かいな」
花「はあ、もう今日も昨日も明日もあらしまへん。どこで何をしてるのやら……。ま、ち
 ょっと聞いていただきたいことがございますねん。ちょっとお上がりを」
庄「そうか、こんなところで話してて、村の者に見つかると、かえって具合が悪いしな。
 ほな、ちょっと入れてもらおか」
花「さあどうぞ、どうぞ、どうぞ」
庄「ウム」              
花「あの何にもあれしまへんけど、お一つ」
庄「おいおいおい、お前昼間から酒なんか飲んでるのかいな」
花「もう私もクサクサするさかい、お酒でも飲もかいなあと思て、ちょっといま………お
 神酒の残り、お一つだけ」
庄「おおそうか。……お前はんに酌してもらうのも久しぶりやか。ウーム、や、おおきに。
 ……平兵衛はどんな具合や」
花「どんな具合て、……旦さん、わてあんさんをお恨みしてまんのやで。ま、選りにも選
 ってえらい男のとこへやってくれはりましたなあ、ほんまに。いろいろとお世話してい
 ただいて、こっちへ来ましたけども、お金はもとより、作ってもらいました着物から、
 かんざしから、もう何にもあれしまへん。ま、博打してるのやら、何してるのやら、
 ……もうこんな得体の知れん男のとこへやってもろて、わてほんとに恨んでますねん」
庄「まあまあまあ、そう怒りないな。わしかて何もやりとうてやったわけやあらへんがな。
 どうにもこうにも、あの時はしょうがないよってにこういうハメになってしもたんや。
 もう、うちの婆がうるそう言いやかったさかいなあ。……しかし、まあまあ、あの婆も
 あんまり長いことないやろと思うでな、まあまあ、あれがかたづいたら、また平兵衛の
 ほうは金で話つけて、またよりを戻すてなこともできるやないかい」
花「まあ、そのお言葉ほんとだすかいな、……けどわても、もうこの通りやつれてしまい
 ましたしなあ」
庄「なにを言うのやいな、ええ。そんな格好してるよってにやつれて見えるけど、
はい(盃をうける)はい………いやあ、キチンと化粧して良え着物(べべ)着せたら、……
 ウム……まだまだお前だけの女はこの村におらんがな」
花「お口のうまいこと言うて………旦さん、そのお言葉、あてにしてもよろしゅおます
 か」
庄「何言うのやいな、ええ、まあもうちょっとこっちィおいでえなァ、お前」
 平兵衛は………
平「手ェ握れよ、そのへんで、手ェ握れ、こーら、オッ、握りやがったなあ。間男見つけ
 たあ、そこを動くな(なぐる)
庄「ああ平兵衛、……ウーン」
と言うとそのまま静かになってしもた。
平「おう、お庄屋はん、今はわしの女房やで。以前はともかく・・・おい、・・・、あ・・、
 逝てもた」
花「逝てもたやあらへんがな。なんちゅう手荒いことをするねん」
平「手、手、手荒いことて、………ええ、年寄りてなもろいもんやなあ、お前。ポンと一打
 ちだけやのに」
花「当たりどころちゅことがあるがな………ほんとにまあ、呼吸してはらへん。どないし
 ょ」
平『せくな、せくな。あわてなア。……こういう時にパタパタしたらあかんわい。わしも
 算段の平兵衛じゃ。待て待て、せくな、せくな。ウーム、待て、待て、庄屋の家はあの
お婆ンが・…・・。ウーム、とにかくな、人から見えんように、ちょっとその屏風の陰へこ
 の死骸入れとこ」
 日が暮れになるのを待ちまして、あたりが暗うなったところで、ソーッとこの死骸を背
中に負いますと、物陰を利用しながらそっとお庄屋はんの家へやってきた。息子夫婦が母屋
のほうに住んでまして、年寄り夫婦は離れのほうに住んでます。もう、雨戸がぴったり
閉めてある。そっと近寄りますと、平兵衛、庄屋の死骸を雨戸へもたしかけて、トントン
と叩く。先方がガラリと開けたら、ストンと仰向けにひっくり返って頭打って死んだと思
わせようという魂胆で、息つまむかなんかして庄屋の声色使うて、トントンと叩きながら、
平「……ちょっと開けとおくれ」
妻「どなただす」
平「そんな他人行儀なこと言いないな。今、帰ったんやお前、閉めきってしまわいでもえ
 えがな」
妻「何を言うてなはんねん。あんた朝早う出て行て真暗になってしもたある。今時分まで
 何をしてなはったん」
平「隣村から帰りにな、ちょっと平兵衛とこへ寄って」
妻「平兵衛、あんたなんで平兵衛に用事がおまんねん。……何やてウソつきなはれ、お花
 に会いに行きなはったんやろ。このごろどうも様子がおかしいと思たら、あんた」
平「ちち、違うがな、お花と違うねん。平兵衛」
妻「何を言うてなはる。あんたが平兵衛に何の用事がおまんねん。お花がいてるさかい寄
 りなはったんやろ。ハーン、さよか、平兵衛とこへ泊めてもらいなはれ」
平「そんなこと言いないな、おい。ウーム、村の者に、庄屋が閉め出されて戸叩いて頼ん
でるとこなんか見られたら、格好つかんがな、なァ、ちょっと開けて」
妻「何を言うてなはんねん、あんたが何が恥ずかしいことを知ってはんねん、大きな恥かい
 たくせに、見られたらよろしいがな、恥かきなはらんかいな」
平「お前、そんなこと言いないな、おい。……ああ、村の衆が来るがな、庄屋が閉め出さ
 れて頼んでるてな。もうこんなとこ見られたら面目ない。わしや首でも吊って死なんな
 らん」
妻「大層なこと言いなはるなあ。ほう、あんたそれで吊らんならんような首か。そんな安
 い首なら吊ったらどうや、あんた。昔からな、死ぬ、死ぬちゅうて死んだ人ないのやさ
 かい、ええ、首吊るなと、お花のとこへ行くなと、ええようにしなはれ」
平「ああ、ほな、そうするわ」
ちゅうわけでその一言を言わしたかったン、それさえ聞いたら用事はない。死骸の帯をほ
どきますと、かたわらにあった松の木にかけて、輪をこしらえると、そこへこう、ヒョイ
と死骸をぶら下げて、シューッとおのれ家へ帰ってしもた。おぎはんのほうは表がシィー
ンと静かになったんで………
妻「おかしい具合や、ええ……なんでこない、……ひょっとしたらまたお花のとこへでも
 ほんまに行たんかしら」
 ガラガラガラと開けてみると、目の前へ………
妻「アハハハ……アツ、……、こんな正直な人々とは思わなんだわ。まあ、えらいこっち
 ゃがな、これはどないしたらええやろ。ちょっと、ちょっと、あんた…ああ落ちてし
 もたがな。ちょっと、これ、親父どん、親父どん。……ああー、呼吸してはらへん。ど
うしたらええやろ、エエ………痴話喧嘩の挙句に、庄屋か首吊ったやなんて倅夫婦に
聞かれても、村の人に間かれても面目ない、どうしたらええやろ。こら変死じゃがな、
お役人の検屍を受けんならん。庄屋が変死したてなことになったらどうしょう、どうし
ょう。ああ、算段の平兵衛にでも相談せなしょうがない・・・こんばんは、・・・ちょ
っと開けとおくなされ。平兵衛はん、平兵衛はん」
平「どなたでやす、ええ、お庄屋はんとこのお内儀はんですかいな。へえ、ちょっ、ちょ
 っ、ちょっと待っとおくれやす、へえ、へえ、へえ、……なんでんねん今時分」
妻「アッ、平兵衛はん、アーちょっとあんさんに頼みがあって米た、折り入ってひとつ算段
 してもらいたいことが」
平「な、な、なんのこってんねん」
妻「実はな、暗うなってからうちの人が、今日遅うに帰ってきましたんや」
平「へえ、お庄屋はんなぁ、隣村の帰りにここを通らはりましてな、ちょっとごきげんだ
 したんで、わたいも一杯やってましたとこやし、ちょっと寄って行きなはれちゅうてな
 ア、うちでちょっとしゃべってお酒飲んで帰らはりました」
妻「そんな話やった。そんな話やったんじゃがな、お花さん、気ィ悪してもろたら困るけ
 ど、さあ、以前か以前なもんやさかい、わしもついちょっと悋気がましいこと言うて戸
 を開けなんだんじゃ。と、うちの人が怒ってな、庄屋が閉め出されて謝ってるとこを、
 村の者に見られたりしたら格好がつかん、面目ない、首吊って死ぬ、とこんな大層な、
 あんまり大層なこと言いなはるで、こっちも売り言葉に買い言葉、阿呆なこと言いなは
 れ、そんな安い首なら吊ったらどうや、ちゅうて開けなんだら………お洒に酔うてたせ
 いもあったんじゃろなあ………ほんまに吊ってしもうた」
平「えっ、お庄屋はんが首を……」
妻「さあさあ、びっくりしてしもてなあ、まあほいで、どないしょうと思て。村の庄屋が
 首吊りで死んだてな、こら変死や。倅夫婦に聞こえても、ええ齢して痴話喧嘩で首吊っ
 たやなんて、ま、そんなことよう言わんがな。なあ、……なんとかこれなあ、おだやか
 に納まるように、変死の、首吊りのてなことだけは」
平「そら、そらちょっと困りますわ。首吊って……首吊って死なはったんですやろ。そら
 あ、あんたそんなもんわてがごまかしたら、こらお上のお役人に聞こえたらわてが罪に
 なります。へい、村の庄屋はんの変死………こればっかりは堪忍しとおくなはれ」
妻「まあまあまあ、そこやで、そこやで、そらまあそうおっしやるのも無理はないがな、
 門跡さんにあげようととっといた、これ二十五両、こりゃわしの死金(葬式代)じゃ。
 これをあげますでどうぞひとつ世間体、無事に納まるように算段してほしいのやが」
平「……二十五両。……金の顔見てから言い方変えたらえらい薄情なけど、そうでんなあ、
 ほかの事と違うてさあ首吊りやさかい………これはまあ他へ聞こえても、外聞の良え話
 でもないし、なんで首吊ったちゅうことでお役人の調べもうるさいことになるやろと思
 う、ウーム。ほんにこれは家の恥、村の恥………よろしい、ほたらひとつわしが段取り
 してみまひょ。ほいでその死骸は、………ええ、まだ首吊りで下ヘ落ちてそのまま、そら
 いかん、そらいかん。わてがじきに行くさかい、ちょっと待っとおくなはれや。おい、
 ちょっとわしゃ走ってくる」
 一緒に飛んでまいりまして、死骸をともかくうちらへ入れて、死骸に派手な浴衣を着せ
ます。自分も派手な浴衣を着る、死骸に頬かむりをさせる、自分も頬かむりをする。死骸
の腰のところへ団扇を一本さします、自分も腰に団扇を一本さして、その死骸を背中に背
負いますと、目立たんように気をつけながら隣村へ……。ちょうど盆踊りの時期で隣村で
は一生懸命、盆踊りの稽古をしてる。その踊りの輪のほうヘヒョコヒョコとやって米よっ
た。(下座  盆踊りの囃子)
平「さあさあ、踊り子さん、これから盆踊りに行くんやで、おい、なあ、そのつもりで陽
 気になってもらわな困るで……」
 電気のなかった時代です。空が曇ってると、そらもう暗いもんで、盆踊りといいまして
も、やぐらが一つ組んであって、篝火がニカ所にあるだけ、マイクもスピーカーもありま
せん。音頭取りが良え声を張り上げて歌うのに合わせて、ぐるりで踊ります。太鼓の音のほ
かは手拍子、足音、静かなもんです。平兵衛、そっと近づいて死骸を下ろすと、踊りの稽
古をしてる連中の傍へよって、庄屋の体を抱えると踊りの輪ヘスッとまぎれ込んでしもう
た。
平「さあ踊り子さん、しっかり踊るんやで……」
 踊らしながら死骸の冷たい手で踊ってる奴の顔をヒョイ、ヒョイ、
O「……おい今なんや気色の悪い手が、こうフワーと顔をなでたんや」
△「お前もやられたか。わしも最前ここをツルッとこう冷たい手がなでやがったんや」
O「ははあ、……近所の村から踊りをつぶしに来やがったんかもわからんで。おい、みん
 なに言えよ、今度妙な冷たい手が出たらな、つかまえて、こいつやあと言えよ、みんな
 でどついてまうのやさかい」
△「よっしやわかった」
 …………(踊らすシグサ)……
△「あっ、この餓鬼やあー」
O「そーれー」
 平兵衛、死骸放り出して、パーッと逃げてしもうた。
O「ちょっと待て、静かにせえ、ちょっと待て、おい。なんやあんまり手ごたえがないが
 な、おい。気ィ失いよったな。誰や、ちょっとちょっとその頬かむりとれ、……あっ、
 ……隣村のお庄屋はんやでこれは………えらいことした。……もう、呼吸ない………死ん
 でる……。誰が殺したんや」
△「そんなこと知らんがな。みんな寄ってどつけ言うたんやないかい」
口「わいかてどついたがな」
×「わい蹴ったで」
O「そら何をするんや、……もう脈も止まったある。こらえらいこっちや。おいっ、皆逃
 がすな、皆逃がすな、ちょっと顔ぶれ見い、顔ぶれ見い、ズーと顔ぶれ見てみい、この
 村の者ばっかりか。……近所の者は入ってないか。みんなこの村の者ばっかりやな、よ
 うし、そうと決まったら考えようがあるわい。またこの人、酒に酔うてこんなことしよ
 ったんや。もうこの人は、酒飲んだらしょうもない悪さするのか好きでなあ。ええ。し
 かし、隣村の庄屋をなぐり殺した、蹴り殺した。こらア無事ではすまんでえ。二、三人
 下手人出さないかんがな」
△「そんなこと知らんがな、向こうが悪い」
O「向こうが悪いちゅうたかて、なんにも殺すとこまでいかいでもええやないかい。……
 お年寄りはちょっと知らん顔してとおくなはれ。こら若い者だけで、一ぺん計ろうてみ
 たいと思います。へえ。いよいよあかなんだらお年寄りにまたお願いせんならんかもし
 れまへんが、こらもう若い者だけのことちゅうことで一ペん……」
△「おい、下手人出す……てなことかなわんで、どないする気や」
O「こらもう算段の平兵衛にでも相談せなしょうかない」
△「……おい、平兵衛の村のお庄屋はんやで、これは」
O「あいつは金でどないでもなるんじゃ。おい、すまんがお前とこが二番の金持ちや、と
 りあえず二十五両二包み、とりかえて出してくれ。……あとで村の金で返すがな。ちょ
 っと行て取ってきてくれ。……あとあと、隣村と病を残さんようにせんならんさかいな。
 ……ああ、金都合してきてくれたか。よしっ、気の利いた奴、二、三人つき合うてくれ
 ……こんばんは。平兵衡はん、えらい夜分にすんまへん、……ちょっと開けとおくれや
 す」
平「どなただんねん、もうよう寝てまんねんやがなこっちは。用事があったら明hにしと
 おくなはらしまへんか」
O「えらいすんまへんお寝みのところ。ちょっと隣村から参りましたんで」
平「隣村」
O「へえ」
平「エエ、ちょっと待っとおくれやす……こらまた大勢さんでまア、なんだんねん」
O「えらいすんまへん。……入れ、入れ、入れ、エー隣村からこうやって三人雁首そろえ
 て来ましたんは、折入ってあんたを男と見こんで算段してもらいたいことがあってやっ
 て参りました」
平「大層な話でんな、いったいどういう事でんねん」
O「いや実は今日みんな寄ってな、盆踊りの稽古してたんでんねん、へえ。今度はまあち
 ょっと新しいことやろちゅうのでな、ご承知だっしやろが、このところ毎晩稽占してま
 んねん。ほたらその踊りの輪の中で、顔を冷たい手でツルッツルッとなでて行く奴がお
 まんねん。こらまた近所の村から、踊りつぶしに来やがったんと違うかちゅうて、みん
 なが用心してて、判ったこの餓鬼や、いてまえー、……なんしろ若い連中ばっかりがそ
 ろうてまっしゃろがな。どつくやら蹴るやらやってしもた。手応えがないんでよう見た
 ら死んでまんねん。……ところか、それがここの村のお庄屋はんでしたン」
平「エェッ」
O「大きな声を出しなはんな。えらいすんまへんがなあ、も、こら悪気があってしたこと
 やないし、うちの村も若い連中ばっかりが寄ってやったことで、お年寄り連中は知らん
 こってんねん。どうでおまっしやろ、これからこのことが後々痼りになって、二つの村が
 艮いこと仇同士になるてなことがあっては困る。なんとかこれ円うおさまるように、ひ
 とつあんた……そこの算段を」
平「そ、そら、そらようせん、そらようせん。考えてみなはれあんた、わたしとこの村の
 お庄屋でっせ。うちの村の庄屋か殺されたんを、わたしがうまいこと算段したてなこと
 が知れてみなはれ。わたしゃこの村におられんどころの騒ぎやないでどんな目にあわさ
 れるか」
O「さあさあさあ、そこや、そこや。無理は承知でお願いをしとります。若い連中ぼっか
 りのことで半端な金しかでけなんだが二十五両一包み、……これでもう精一杯のこった
 んねん。なんとかひとつ算段してもらえまへんやろかな」
平「……銭の顔見て言うこと変えたら薄情なが、そらなるほど考えてみたら、これから
 先々、こんな事でいつまでも両方の村がにらみ合うてなことになったら、こらお互いに
 良えこっちゃないわなあ。うちのお庄屋はんにも悪いとこがあるのやし………よろし、
 ほたらこれは頂いてわたしがひとつ一世一代の算段をさしてもらいまひょ」
O「あんたが引き受けてくれたらもう安心や」
平「そのかわりちょっとみな手伝うてもらわな」
O「ええー、そら手伝います。どんなことでもしますがな」
平「このお庄屋はん酒が好きやちゅうことはみな知ってまっさかいな、……どなたかこの
 お庄屋はんの死骸を背負うて、あの村の崖端の一本松な、あすこへ月を見にお庄屋はん
 と一緒に行たちゅうつもりで、五人ほど上へ上がっててもらいます。そのかわり、おた
 くの村みんな口うら合わしてもらわなあきまへんで」
O「そらァあんた村から二、三人、下手人出さんならんとこやさかい、そらどないでも合
 わします」
平「一本松のとこまで死骸を持って上がってもらいます。で、わたしか何か用事つくって、
 庄屋のお婆んとこへ行きまっさ。ほなまだ帰ってないというに違いないさかい、そらお
 かしい。探しに行きまひょと向こうのお内儀はん連れて出ます。提灯を下げてな、これ
 目印でっせ。お庄屋はんとこの紋の入った提灯下げて、お婆ん連れて、ちょうどその、
 あの崖の下を通りかかるようにしますわ。で提灯を、こう振るのが合図や、わたいがこ
 うしたら、そこの死骸を上からドォーッと突き落としなはれ。ザ、ザザ、ザーッと落ち
 てくるのと同時に、二、三人が上から、えらいこっちゃあ、お庄屋はんがすべりこけた
 あ、言うてダーッと降りて来なはれ。そこでウワァーとこうなって、お婆んの目の前で
 すべりこけたらお婆ん、得心するわ。ほいでザーッとはこんで、医者やなんか呼んで、
 ワーワーワーワーで、ケガして死んだちゅうことにしまひょか」
O「……そらま、それぐらいの事はやらしてはもらいますけど。……けどそんなこって向
 こうのお婆んが得心しまっしゃろかな」
平「お婆んは任しといとおくなはれ、どないでも承知さしまっさかい」
O「さよか、ほなまあ、そういう段取りにひとつ」
 てなもんで。さあそれから芝居をして、お婆んのほうには、私がうまいことしましたち
ゅて恩に着せ、向こうのほうには働かせて、提灯を持って連れて行く、合図で上から死骸
がザーッ・・……世の中にまあこの死骸ほど気の毒な仏さんはおまへんな・死んでからどつ
かれるやら、蹴られるやら、上から突き落とされるやら………も、どの怪我で死んだんや
ら判らんようになったある。まあ、ようようのことで事故死ということになって葬式もな
にも、八方無事におさまりまして、平兵衛のところへ五十両という金が残った。隣村は何
人かの命にかかわること、絶対口には出しません、これは安心です。さあ、そやのうてさ
え朝から酒を食ろうていたい奴、毎日のように、朝酒というやつを、ごきげんでやってる
と、近所に住んでるあんまの徳さんちゅう男、
徳「平兵衛はん………こっちにいてなはるかいな」 
平「おおっ徳さんかI。何も療治たのまへんで」
徳「いやあ、療治に来たんやないねん。ちょっと一服さしてもらおと思て」
平「ウーウン、まあ、こっちい上がり」
徳「はあはー、あんたまた昼洒か」
平「いやあー、昼酒か言うたかて、なんや、俺はもう昔から儲かったら酒やし、仕事がな
 かったらやけ酒」
徳「何を言うてなはんねん、やけ酒やなんて。平兵衛はんこのところなかなか、良え景気
 やちゅうこと聞いてんねん、ああ。……・」っちはあかんわい」
平「何言うてんねん、お前はんも良え景気やろがい。あんまつかみ取りちゅうて、まる儲
 けやがな」
徳「何を言うのやいな。わしも目エが不自由なくせに、博打を打とうかちゅう代物やさか
 い、エヘッ、偉そうなことは言えんがな。(この間、煙草入れ取り出して煙管に煙草をつめよう
 とするシグサ)お前はんかてあんまり偉そうなこと言えるお人やない。……なんじやこ
 ら……落ちてしもた、:…、たばが無うて粉ばっかりちゅうやっちや……ちょっと火鉢、
 火鉢、火鉢、ああ、こぼれてもた、こぽれてもた。煙草一つよんどおくなはれ」
平「ああ、こ、こ、これ吸うたらええがな」
徳「エッヘッヘッえらいすんまへん。昼日中から酒飲んで良え景、……(吸いつける)
 ……良え景気やあんた、ちょっとなあわしもこのところずーっともうとられ通しで、煙
 草銭にも不自由してるのや。ちいとしのがしてえな」
平「何を言うてんねや、算段の平兵衛とこへ来て、そんな話はお門違いやで」
徳「何言うてんね、このごろは良え景気やちゅうこと聞いてんのやがな。こっちゃもうこ
 のところ、行てはとられ、行てはとられ。目エが出えへんのや」
平「お前もとから目工出えへんやないか」
徳「アッハッハッハー、ほんにそうやなあ。なあ、ちょっ、ちょっ、ちょっとしのがして
 えな」
平「ええ」
徳「お前はん良え景気やないかい。ずIっしりと唸ってるちゅうねん、このごろ。なあ」
平「ほんなことはないけどなあ、ちょっとこないだうちから、わしも目エが出て、少しも
 うけたさかい、ウーム。余計なことはでけんけど、ほんならこんだけ寄進につくわ。も
 うかったら持ってきィや」
徳「へえ、一分・ああーありがたい、ありがたい、さすがは平兵衛はんやなあ。やっぱり
 堅気の人間にはこんな真似はでけんわい。さすがは算段の平兵衛。これでな、ドーンと、
 もう、も、もうけて、ああ、返しにくる。利息つけて持てくるよってな。アハハッー、
 おおけに」                  一
 帰って行く。四、五日すると、
徳「平兵衛はん、ちょっとしのがしてえな」
平「なんやねん、またかいな」
徳「さ、あかんねやがな。二両二分まで行たんや。もう一もうけと思て、ズボッといかれ
 た。なあ、あんたとこは良え景気やろう」
 ……こいつがどこまでのことを知ってんのやら、あるいはまるきり知らんのやら、なん
や判らんのですが。すねに傷持ちや笹原よける。どうもこいつ、奥歯に物のはさまったよ
うな言い方をする。気色が悪いもんやさかい、一分やり、二分やり、ちょいちょい、ちょ
いちょい小遣いとられてる。近所の連中がびっくりした。
O「おい、あのあんまの徳ちゅうのはあれなんやな。平兵衛のところへ来て、ゴジャゴジ
 ャ、ゴジャゴジャ言うては小遣い持って行くで」
口「上には上があるもんやなあ、そやけど。あの算段の平兵衛からまだむしる奴がいてる
 か」
O「あの徳さんちゅう奴、相当良え金づるを、なんか平兵衛の痛いところ握ってるに違い
 ないで」
口「何を握ってるか知らんけども相手は算段の平兵衛やで、こんなことしてたらしまいに
 どえらい目にあいよるで」

O「さあ、そこがめくら、平兵衛(ヘビ)に怖じずやがな」


金曜日に流れた徒然亭四草が高座にかけた落語のオチがこれでんねん。
文字で読むといまいち面白くないっちゅうか。
まぁ、元々ゲラゲラ笑えるタイプのものではないとは思いますけど。
これで笑うのはなかなか難しい。。。

ちゅうわけで、今日の練習はちょっと休ませていただきます。
ちゅうか、年内はもうお休みさせてください。
体がだるいわ。
土曜日の午前0時、天神周辺は大渋滞。
公共工事の影響が大きいのだけれど、やってられへんわ。。。

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December 13, 2007

もうすぐ Merry Xmas 。。

2007_12_09cat

何で日本でクリスマスの行事をするんや??
わし、怒ってるねんで。。。
いらんやろ!!
アホくさ・・・。

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December 12, 2007

アジの南蛮漬け。

2007_12_12azi

アジの南蛮漬けを食べたくなったので、小アジを探す旅に出て
苦難の末1パック98円で買い求め帰宅した。
ゼイゴを取ろうとしたら、そんなに悪い包丁ではないはずなのに
美しく切れない。
よく考えたら引っ越ししてもう1年以上包丁を研いでなかった。

魚屋には一尾980円で見事なアジがあった。
あんな大きなアジは食べたことがない。。。
大きめのサバくらいだったろうか。
あそこまで大きいと、刺身だろうなぁ~。
焼くともったいないよな。
アラカブの煮付けを食べたいが15センチ位のミニサイズで
300円を超してたので買う気にならない。
大きめのアラカブは料亭などの方に流れていくので
魚屋にはなかなか出ないと云う話も聞いたけれど・・・。

貧乏が身にしみる師走・・・もう半分近く終わってしまった。

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December 11, 2007

耳クロ。

2007_12_08cat1

野良ネコ3兄妹の耳クロ。
なかなか写真が撮れない。

2007_12_10cat3

ちょっと恥ずかしがり屋なんよね。
父親と思われるネコも近くにいるけど写真は撮れない。
野良はなかなか難しい。
そのうち1匹1匹と欠けていくのかも知れないけれど
今のところ3匹は元気に大きくなっている。

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December 09, 2007

梅昆布茶。

2007_12_10cat

昨夜は空きっ腹で飲んだシャンパンにやられてしまう。
そんなこんなで今朝は梅昆布茶。
胃がカスカスするわ。。。
でも、お腹が減った。

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December 07, 2007

寒かった。

2007_12_07cat

ここ2~3日、冷え込んだせいか近くの公園の猫を見かけなかった。
どこかの縁の下にいるのか、死んでしまったのかと思っていたら
今朝はちゃんと公園のベンチに座っていた。
コンビニで買ったネコ缶をあっという間に食う。
しかし、このニセちび太はミャ~ともミュ~とも云わない。
もうちょっと媚びを売ってくれてもいいんじゃないかと思うんだが・・・。

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December 06, 2007

小麦ねんど。

2007_12_06nendo

孫の家がかぜで全滅してるので、てんやわんやなんです。
買い物して今日も孫の家。
小麦ねんどを作りました。
小麦100グラム
水90cc
塩50グラム
サラダ油小さじ1
食紅、少々

水に塩を溶かしておきます。
全部は溶けないかも知れませんが上澄みを使います。
塩水は小麦粉に注ぐとき、全部は入れないこと。
好みの固さに加減しながら入れます。
着色した後にサラダ油を入れ込みます。

私が何を作っても孫2号は「あ、うんこ」しか云いませんでした。
ねんどで遊んだことがなかったようです。
丸める、延ばすがまだ出来ません。

同様に泥遊びも必要だと思います。

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December 03, 2007

ニセちび太。

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近所の公園に住んでいるニセちび太。
以前は浮浪者のおじさんがカリカリ餌をやっていたのだけれど
寒くなったせいか公園で寝るのをやめてしまったようで
朝は1匹でベンチに座っている。
今日はサバを少しやってみた。
喜んでくれているようである(笑)。

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December 01, 2007

ガンマGTP 59。

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2004年には100を超していたガンマGTPもこのところ低いまま。
貧乏で栄養過多にならないところがうれしいような悲しいような。
店舗で食べるラーメンはきっぱりやめているし・・・

あぁ・・・・・ラーメン食いてぇ~~。。。

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